コーヒーのカフェインを健康に役立てる3つのポイント
このように脳に作用し、認知症などにも好影響をもたらすと言われるカフェインだが、心配な面もある。カフェインのとりすぎによるリスクだ。
例えば、カフェインのとりすぎは低体重児出産リスクを高める可能性があるため、妊婦や授乳中の女性、カフェインへの感受性が高い小児のカフェインの過剰摂取に注意喚起がされている。
では、1日コーヒー何杯までならカフェイン量は大丈夫なのだろうか? 福島さんにカフェインとかしこくつきあう方法を聞いた。
1.カフェインのとりすぎが心配? 1日コーヒー3~4杯ならOK
欧州食品安全機関(EFSA)は2015年に、安全性に問題のないカフェイン摂取量を以下のように定めている。
妊婦・授乳婦 200mg以下
小児(3~18歳)3mg/kg 以下
●1回あたりの摂取:成人200mg、小児3mg/kg
「コーヒー1杯に含まれるカフェインは前述したとおり、約90mg。個人差はありますが、1日3~4杯であれば大人は心配せず飲んで良いでしょう」(福島さん)。
2.加齢とともにカフェインの代謝が低下。夕方以降のコーヒーは睡眠を妨げる
「カフェインの効き方には個人差があり、『カフェインをとると寝付けない』という人はカフェインの感受性が高いか、あるいはカフェインの代謝がスムーズに行えず体内に長くとどまる体質の人だと思われます。また、加齢によって肝機能が低下すると、肝機能の一つである薬物代謝能力が低下し、これにともないカフェインの代謝能力も低下します。つまり、体内にカフェインが長くとどまり覚醒作用を引き起こします。就寝前のカフェインは寝付きを悪くするという研究もあり、特にコーヒーやお茶を飲むと寝付きが悪くなると感じる人は夕方以降のコーヒーは避け、デカフェ(カフェインレスコーヒー)にするのもお勧めです」(福島さん)
3.空きっ腹で飲まない
カフェインには胃酸分泌を促進する作用がある。このため、「もともと胃酸過多の人が空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸によって胃粘膜にダメージが与えられる可能性があります。空腹時のコーヒーのがぶ飲みは避けたほうが良いです。ただし日本人対象の研究で、コーヒー摂取は胃潰瘍や逆流性食道炎などに影響を与えないことが確認されています」(福島さん)
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3回にわたって、コーヒーのポリフェノール、カフェインがもたらす健康効果についてお伝えしてきた。福島さんは、2021年に、コロナ禍における在宅勤務と生活習慣、健診データなどをネスレ日本の社員男女327名を対象に調査を行い、まとめたという。その結果、「座りっぱなしの時間が長くなるほど活気が失われ、抑うつ感が増す傾向が出ました。その一方で、コーヒー摂取が多くなるほど活気が出ること、また、気分転換のブレイク回数が増えることがわかりました」と言う。
最終回は、カフェインと運動パフォーマンスの関係について見ていく。
(ライター 柳本操、グラフ制作 増田真一)
