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NEC森田社長「組織の多様性、高めるのが遅かった」

NEC森田隆之社長(上)

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NIKKEI STYLE

NECは社員の力を最大限に引き出すべく、働き方やコミュニケーション、人事制度など様々な観点から改革を進めている。前例にとらわれず抜本的に制度・システムを変え、力強い成長を続けようとしている。働き方改革に詳しい相模女子大学大学院特任教授の白河桃子さんが、森田隆之社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた(以下、2人の敬称略)。

「人の力を高める文化」欠けていた

白河 森田社長は2021年4月の就任以来、働き方改革に積極的に取り組まれています。これまでの成果やこれから目指すビジョン、そして「なぜ働き方改革が必要なのか」という意義や価値についてお考えを聞かせてください。

森田 まず私自身の問題意識の成り立ちからお話しさせてください。私の前職はCFO(最高財務責任者)で、その前は業績が厳しかった海外の事業部門を担当していました。キャリアの半分以上はM&A(合併・買収)に関わってきたわけですが、買収というより統合前後の構造改革やジョイントベンチャーの調整が多くありました。多くの成功・失敗事例を見ながら「なぜこういう意思決定をしたのか」と自分なりに分析してきました。その中で分かったのは、せっかく優れた技術を持っていても、それを事業として続けていくには、中長期のビジョンと覚悟が必要だということです。

白河 M&Aの最前線で陣頭指揮を取ってこられたからこそ得た問題意識なのですね。

森田 はい、CFO時代には、事業戦略とリソースが密に連携していくことの重要性を感じてきました。社長に就任する前に、創業期にまで遡って弊社の歴史を学び直しました。やはり事業戦略と財務戦略がセットで計画されることが必要なのだと感じると同時に、「もう一つ、大きなものが欠けている」と気づいたのです。

それは「人の力を高める文化」です。結局、企業の競争力をどこまで高められるかは、働く一人ひとりのパワーの総計であると。では、どうしたら人の力を高められるのか。報酬や環境づくりももちろん大事ですが、「自分は世の中をよくする事業の一員である」という充実感を持てるかが非常に重要です。

白河 まさに企業カルチャーを変える「カルチャー改革」ですね。優れた戦略があってもビジネスのアイデアがあっても、最終的にするのは人です。社員の皆さんの力を引き出し、高めていく戦略が大事です。働き方改革の本質は制度ではなく風土が変わることと思っているので、とても共感します。

森田 ありがとうございます。仕事を通じて、よき市民としてより良い未来に向けての社会貢献ができているという実感をいかにして持ってもらえるか。社会における企業の存在意義を明確に打ち出す必要があります。いわゆる「パーパス経営」として注目されている姿勢を、当社も強化しようとしているところです。

新しい評価制度は上から導入

白河 具体的にはどんな目標を掲げていらっしゃるのでしょうか。

森田 1つは(従業員の企業理念への共感度や仕事のやりがいなどを示す)エンゲージメントの向上です。中期経営計画でもエンゲージメントスコアを世界的に見てトップレベルに上げることを掲げました。指標として、世界基準で比較できるように、海外でも活用されている(人事コンサルティングの)キンセントリックの調査を導入したところ、初回の18年度は19%と低い数字で大変ショックでした。経営陣も危機感を持っていろいろと施策を打ってきた結果、20年度は25%にまで上昇しました。ようやくグローバルの平均値くらいになったところです。それでも、ボトムから脱した程度の成果ですので、上位25%に入ることを目標に今後も改革を進めていきます。

白河 これまでどんな施策を行ってきたのでしょうか?

森田 結局、言葉だけ掲げても組織は変わりませんから、「これからのNECではこういう人に活躍してもらいたい」「こんなリーダーになってほしい」というメッセージを様々な形で伝えてきました。

その1つが「コミットメントシート」を使った評価制度で、役員は全員「1年任期制」です。年初にその1年で何をやるかを上司と話し合って合意した内容を紙に書き、お互いにサインをする。年末に点数を出して、業績に応じてボーナスが算出されるという仕組みです。役員と事業部長は18年度から始めていて、21年度からはマネジャーまでの管理職に導入しています。

白河 役員は全員「1年任期制」で、上から入れるところが素晴らしいですね。評価と報酬の制度を、一人ひとりのコミットメントがより反映される形に変えたということですね。

森田 おっしゃる通りです。外部からの採用を強化したのも施策の1つです。かつては中途採用の人数は年間数十人程度でしたが、18年度から100人を超え、19年度は300人、今年度の計画は500人です。2022年4月入社の新卒採用が550人ですから、ほぼ同数になります。

白河 中途と新卒がほぼ同数……これも御社のような日本の大企業ではすごい数字です。カルチャーもかなり変わりそうです。

アジャイルでいい、進めながら修正する

白河 森田社長ご自身は、異なる文化が交わって協業する場面に立ち会うご経験が豊富だと思うのですが、NECという組織全体の多様性が高まっている状況についてはどう感じていますか。

森田 私からすると、遅かったくらいに感じますね。私がいたM&A部門はバックグラウンドが非常に多彩なメンバー構成でしたが、だからこそ生まれる価値があるという実感はすぐに持てましたね。

白河 ダイバーシティ経営の良さを早くから実感されていたのですね。

森田 良さというよりも、それをしなければ大きな損をするという危機感に近いですね。そもそも競争にすらならないのではないでしょうか。仮に日本の成人男性は5000万人、世界は70億人とすると、140分の1になります。その比率でどうやって勝てるのか? 勝てませんよね。だからこそ、多様な人材が集まる職場をつくること、職場の魅力を高めることが競争戦略に欠かせないのです。

また、働き方改革の施策を進めるときに、私が言っているのは「アジャイルでいい」ということ。緻密に準備して完璧な設計をしてから始めるのでは遅いのです。だいたいの形ができたら、とにかくやってみて、ちょっとずつ直していけばいいんだと言っています。

白河 社長が明確に「ダメだったら直せばいい」とコミットメントするのは重要だと感じます。要するに、チャレンジそのものを奨励する。

森田 そうです。当社にも昔、「言ったもん負け」という言葉があったそうです。つまり、問題点を指摘すると、「じゃあ、お前がやれよ」と(仕事が増えて)損をすると。私自身は、好きにやらせてもらえるので誰もやりたがらないトラブル処理をするのが好きなタイプでした。だから、「言ったもん勝ち」と思っていました。

社員からの質問に自ら答える

白河 これまでのお話から、ダイバーシティ経営の価値を実感され実際に改革を進めようとしていることが伝わってきました。一方で、リーダーの意思を組織の隅々にまで浸透させていくことの難しさも感じていらっしゃるのではないでしょうか。

森田 まずは私が何者かを知ってもらうために、社員に対して積極的にコミュニケーションをとるように心がけてきました。例えば、国内の社員なら誰でも参加できる「タウンホールミーティング(対話集会)」を1万2000~1万5000人規模で毎月続けています。創業記念日には3万人弱集まりましたね。オンラインで実施しており、約8割が自宅から参加しています。内容に関しては、私の一方的な話だけだと意味ないのでスピーチは5分で終わらせて、残りの時間はすべて質疑応答にあてインタラクティブに実施しています。

白河 質問がなかなか出ずにシーンとなることはありませんか。

森田 事前に質問を集めセレクトしています。それを司会が読み上げるのではリアリティーに欠けるので、「内容は変わってもいいよ」と伝え、質問を寄せた本人に発言してもらっています。海外はなかなかハードでして、4~9月に12カ所で行いましたが、1000もの質問が来たこともあります。1カ所につき年2回、1時間ずつの実施です。

白河 全世界の社員の質問に、社長がリアルタイムに答えるなんて、すごい取り組みですね。どんな質問が来ますか。

森田 結構答えづらいものもあるんですよ。「自分の担当は会社として力を入れている領域ではどうもなさそうだ。本気でやっていくのか」といった質問に完璧に答えられるわけではありませんが、率直に思うところを話しています。プロセスを隠さずオープンに伝える姿勢が大事だと考えているからです。

白河 まさに透明性ですね。

後編では、ジョブ型雇用やポスト公募制などについて、引き続き森田社長に話を聞く。

白河桃子
相模女子大学大学院特任教授、昭和女子大学客員教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年ごろから執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女共同局「男女共同参画会議 重点方針専門調査会」委員などを務める。著書に「働かないおじさんが御社をダメにする ミドル人材活躍のための処方箋」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子)

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