日経クロストレンド

操作部分から全体のデザインを考える

ドラム式洗濯乾燥機の「BD-STX110G」は21年10月の発売。前機種との最大の違いは「タッチボタンをやめ、フルカラー液晶画面で操作できるようにしたこと」と同研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタ プロダクトデザイン部CSP3ユニット主任デザイナーの二宮正人氏は話す。洗濯乾燥機の多機能化が進むにつれ、「ボタンが増え、操作が煩雑」という声が多数、届けられるようになったからだ。

そこで、新しいユーザーインターフェース(UI)を開発。採用したのが、横長で大画面のフルカラー液晶である。ドラム式洗濯乾燥機でフルカラー液晶を採用したのは日立では同機種が初。そのため遠くから見ても操作部分が自然と目に入るように、洗濯乾燥機の全体形状からではなく、操作部分からデザイン。通常は後で行う操作部分を最初に定義するなど、洗濯乾燥機のデザインプロセスを変えて作り上げた。

それだけに操作部分の液晶画面には、いくつものこだわりがある。例えば液晶画面の動線を3階層までにしたり、液晶画面の右側に「今、何の操作をしているのか」を常に表示したりして、迷わないように工夫している。連係するスマホアプリ「洗濯コンシェルジュ」のアイコンを液晶画面にも踏襲。アプリとの整合性を取って作り込んだ。液晶画面のデザインは社内の人たちに試してもらい、発売ギリギリまでより使いやすくなるよう調整した。唯一、物理的な操作ボタンにしたのは電源とスタート。操作に間違いがあってもすぐ止められるなど、安全面に配慮したためだ。

遠くから見ても操作部分の液晶画面が目立つようにしたBD-STX110Gのスッキリかつシンプルなデザイン
多機能でも迷わず操作できるようにした液晶画面。採用されているアイコンはスマホアプリを踏襲

こだわりは液晶画面だけではない。「設置したときのインテリアとの違和感をなくし、近くで見ても高級感があるホワイトでマットな質感の表面にした」と二宮氏。マットな樹脂はツルツルした表面と比べて汚れが付きやすそうだが、清掃性を重視しながらシボ感を持つ樹脂を採用した。

デザイン面でのこだわりを消費者に伝えるため、日立は公式ユーチューブチャンネル「HitachiGlobalResearch」で紹介している。コンテンツ作成にデザイナーも参画しているという。R-KC11RとBD-STX110Gのコンテンツには小林氏と二宮氏が登場。デザイナーは形を作って終わりではなく、自らのデザインをアピールする時代にもなっている。

二宮氏がBD-STX110Gのデザインを紹介するユーチューブのコンテンツ

(ライター 中村仁美)

[日経クロストレンド 2022年2月3日の記事を再構成]

「ヒットを狙え」の記事一覧はこちら

「マーケ・デジタル戦略」が分かるデジタルメディア、日経クロストレンド

「日経クロストレンド」では「P&Gマフィア」「AIを使ったリアル店舗の逆襲」「クルマ・鉄道を変えるモビリティ革命『MaaS』」「中国ネット企業の実情」など、次の時代を予見するマーケティング・デジタル戦略の特集記事を毎月たっぷりお届け。マーケ担当者に加えて、経営者・役員やIT担当者など、幅広い層に読んでいただいています。