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スタジオの候補地には日本も

本作を製作したのはイルミネーション。近年アニメーション映画業界でウォルト・ディズニーやピクサーと同じようにヒット作を連発しているアニメプロダクションだ。

07年に設立され、10年にスタジオ1作目『怪盗グルーの月泥棒 3D』を公開し、興収12億円を記録。その後、2作目『怪盗グルーのミニオン大脱走』(13年)が25億円、ミニオンを主人公にした『ミニオンズ』(15年)が52.1億円、3作目『怪盗グルーのミニオン危機一発』(17年)が73.1億円と回を重ねるごとに興収を伸ばした。ミニオンは人気キャラクターとなり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに「ミニオン・パーク」がオープンするまでに成長した。『怪盗グルー』シリーズ以外でも、『ペット』(16年)が42.4億円、『SING/シング』が51.1億円と大ヒットしている。

イルミネーションの設立者であり、全作品をプロデュースしてきたのがクリス・メレダンドリ氏だ。20世紀フォックスアニメーションの初代代表で『アイス・エイジ』シリーズなどを大ヒットさせた。メレダンドリ氏によれば新スタジオ設立で目指したのは「よりインターナショナルな視点を持ったスタジオ」だという。「年齢や文化に関係なく、世界中の人々の心に触れるアニメを作っていきたかった」(『怪盗グルーのミニオン危機一発』公開時のインタビューより、以下同)

スタジオの候補地はイギリス、フランス、そして日本。アメリカでは20世紀フォックスやピクサーなどアニメーションスタジオがデジタル・アーティストの囲い込み競争を行っていたため、米国外に目を向けた。最終的にフランス・パリを拠点にしたアニメーション/VFXスタジオのマックガフと『怪盗グルー』を作ることにした(マックガフはその後、イルミネーションに買収されイルミネーション・マックガフと社名を変更)。「『これだけいれば(スタジオ運営には)大丈夫』というデジタル・アーティストの人数やCG技術のレベル、アニメ業界が確立している場所を考えると、イギリス、フランス、日本が選択肢でした。当時、日本のCGアニメ業界はまだ若かった。そこで最終的にフランスにしました」