検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

オス無しで子、飼育下の絶滅危惧コンドル 野生では?

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

「コンドルのデータが何かおかしいです」

カリフォルニアコンドルの保護に向けた長い一日の作業を終え、車に向かっていたオリバー・ライダー氏にとって、それはうれしい言葉ではなかった。しかし、同僚のレオーナ・チェムニック氏が詳しく説明すると、すぐに不安は期待に変わった。

血統番号SB260とSB517という2羽のオスの遺伝子を詳しく調べてみたところ、父親となったはずの鳥の遺伝子を受け継いでいなかった。つまり、この2羽は「処女懐胎」(単為生殖)で誕生していたのだ。カリフォルニアコンドルの単為生殖をはじめて確認したこの研究結果は、2021年10月28日付の学術誌「Journal of Heredity」に発表された。

カリフォルニアコンドル(Gymnogyps californianus)は、地球上で特に絶滅の危険性が高い動物の一つで、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで近絶滅種(critically endangered)に指定されている。彼らを絶滅の淵から救う取り組みは、数十年にわたって続けられている。

1982年の時点で、カリフォルニアコンドルの生息数はわずか22羽だったが、2019年には500羽以上まで回復した。飼育した個体を自然に放す活動が徐々に功を奏したおかげだ。

そのためには捕獲した鳥を慎重に育てる必要がある。特に、どのオスとメスに繁殖させれば健全な子どもが育つかという判断は重要であり、遺伝子が詳しく調べられているなか、今回の発見がもたらされた。

通常は有性生殖を行う動物でこのような単為生殖が起こるのは、メスの卵子とともに作られる特定の細胞が精子のように卵子と融合するからだ(編注:コンドルでは2セットある染色体が同じになるのがオスのため、単為生殖であればオスが生まれる)。

単為生殖は、脊椎動物ではまれだが、サメやエイ、トカゲなどで見られる。また、シチメンチョウ、ニワトリ、ヒメウズラなどのメスをオスのいない環境に置いた場合に起きることも確認されている。

一方で、ライダー氏はカリフォルニアコンドルの単為生殖にはとても奇妙な点があると話している。SB260とSB517の母鳥は異なるが、それぞれオスと一緒に飼育されていた。さらに、どちらの母鳥も、その前後にオスと繁殖を成功させていた。

米サンディエゴ動物園ワイルドライフ・アライアンスで遺伝子保全を統括しているライダー氏は、「いったい何が起こったのでしょうか。まったくわかりません」と言う。「わかっているのは、これが起きたのは一度だけではなく、複数のメスで起きているということです。これからも起きるのでしょうか。そうであってもらいたいと思います」

何かの異常か、生き残るための手段か

絶滅にひんしているカリフォルニアコンドルのうち、カリフォルニア州、アリゾナ州、ユタ州の空を舞っているのは300羽ほどにすぎない。

前述の論文には関与していないが、米ミシシッピ州立大学で生殖生理学と微生物学を研究しているレシュマ・ラマチャンドラン氏は、これほど数が少ないことを考えれば、生存の手段として単為生殖が使われてもおかしくはないと言う。

他の種においても、危機が迫っている場合に単為生殖が一種の命綱になる可能性が指摘されている。たとえば、絶滅が危惧されているノコギリエイの仲間が野生で単為生殖を使うのは、繁殖相手を見つけることが難しくなっているからかもしれない。

ただし、この説はカリフォルニアコンドルには当てはまらないだろう。まず、問題の母鳥のそばにはオスがいた。さらに、単為生殖で産まれた2羽のオスは、どちらも繁殖できるまで成長するには至らなかった。SB260は2歳に、SB517は8歳になる直前に死んだ。その一方で、カリフォルニアコンドルの寿命は60年に達することもある。ライダー氏は、自家生殖で生まれた鳥には遺伝子の異常があり、若くして死んだのはそのせいかもしれないと考えている。

「興味深いアイデアではありますが、単為生殖が種の進化や保全にとって有意義だという結論を下すのは、時期尚早でしょう」と、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校で進化遺伝子学を研究しているジャクリーン・ロビンソン氏は述べる。「この現象は珍しく、まだわずかしか確認されていません」

そこで今年、ロビンソン氏とライダー氏のグループは、カリフォルニアコンドルの全ゲノムの詳細な解析結果を公開した。これは貴重な遺伝子データで、今後、カリフォルニアコンドルの単為生殖の仕組みを明かす手がかりになるかもしれない。

単為生殖は広く行われている?

科学者たちがもっとも興味をそそられているのは、単為生殖がこれまで考えられてきたよりも広く行われている可能性だ。

2018年に鳥類の単為生殖に関する総説を発表したラマチャンドラン氏は、単為生殖は主に飼育下で報告されているが、野生環境で起きていないと考える理由はないと述べる。「実際に、野生環境での報告が増えるのではないかと期待しています」

ライダー氏も同意見だ。「コンドルで単為生殖が起きたことを確認できたのは、詳細な遺伝子解析ができたからにほかなりません。では、裏庭にいる鳥が単為生殖することはあるのでしょうか? それに答えられるだけの詳しい調査は、まだ誰も行っていません」

しかし、答えがどうであれ、「そうした問いかけは、自然が常に驚きに満ちたものであることを思い出させてくれるものです」とライダー氏は言う。

(文 JASON BITTEL、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年11月1日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_