成果を発表する場を用意
3つ目は子供たちが実装したプログラム成果を発表する場を用意していること。ソフトバンクロボティクスが開催している「STREAM チャレンジ」(20年までは「プログラミング成果発表会」という名称で開催)である。
STREAM チャレンジは、自ら発見した社会課題を、Pepperを活用したクリエイティブな発想で解決することを目指すプログラミングコンテスト。プログラミング成果発表会2020の小学生部門で金賞を受賞した岐阜市立岐阜小学校は、「子育ての問題を解決するペッパー」を開発。児童虐待の新聞記事から子育てに悩んでいる親が増えていることを知り、この課題を解決したいと、小さな子供がペッパーのタブレットをタッチするだけで、折り紙や絵本の動画が流れるようなプログラムを作成したのだという。
ここで発表されたプログラムが社会実装までつながった例はまだないというが、プログラミング成果発表会 2019の中学校部門で金賞を受賞した藤枝市立葉梨中学校は、プログラムを開発するだけではなく、新東名高速道路の藤枝パーキングエリアにペッパーを設置し、実証実験も行ったという。「今後は、子供たちが作成したプログラムが社会実装できるように支援する仕組みができればと考えている」(長﨑氏)。ロボットを動かすことだけでも人はワクワクする。それにプラスして社会の課題解決に役立つプログラムを開発でき、発表できる。ペッパーは子供たちにとってはもちろん、先生にとってもワクワクできる教材としてさらに活用が進みそうだ。

(ライター 中村仁美、写真提供 ソフトバンクロボティクス)
[日経クロストレンド 2021年11月4日の記事を再構成]