高性能なクリエーター向けデスクトップも登場
3つ目の発表は、パソコンのMacに関するものだ。アップルはMacのCPUをインテル製から自社開発した「M」シリーズへ移行しつつある。これまでノートパソコン「MacBook」やディスプレー一体型の「iMac」といった普及モデルは移行したが、映像・音楽制作などのプロ・セミプロが利用する高性能モデルは移行が遅れていた。
そこでアップルは今回、プロユース向けMacのMシリーズへの移行を進めるため、新CPU「M1 Ultra」を投入した。これは高性能ノート「MacBook Pro」などに搭載していた従来の最上位CPU「M1 Max」を2つ組み合わせることで処理性能を高めたCPUだ。

アップルの発表によると、M1 Ultraは現在最も高性能なWindowsデスクトップパソコンと比べた場合、90%増しのCPU性能を100ワット少ない消費電力で、GPU性能に関しては同等の性能を200ワット少ない消費電力で実現できるという。非常に高い処理性能と省電力性を両立していることは間違いないだろう。
そのM1 Ultraを搭載したのがまったく新しいデスクトップパソコン「Mac Studio」である。幅と奥行きがいずれも19.7センチ、高さ9.5センチと本体はハイエンドデスクトップとしてはかなりコンパクトだが、M1 Ultraの省電力性と独自の排熱設計で高いパフォーマンスを発揮できるという。
加えて背面には4つのThunderbolt 4端子をはじめ豊富なインターフェースを用意。前面にSDカードスロットを設けるなど、その充実ぶりは目を見張る。併せて発表された5K解像度(5120×2880ピクセル)の27インチ高性能なディスプレー「Studio Display」との組み合わせで、映像や音楽などのクリエーターに魅力的な環境を提供するのがアップルの狙いだろう。
その分、価格は安くない。M1 Ultraを搭載したMac Studioは49万9800円から、Studio Displayは19万9800円からだ。

今回のイベントで登場した製品はいずれも3月18日から国内出荷が始まる。なお今回は最上位デスクトップパソコン「Mac Pro」は新製品の発表がなかったが、イベント内ではわざわざ「次の機会」とのコメントがあった。
Mシリーズ、そしてMacの進化は今後も続きそうだ。
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。