「KYOTO style.(キョートスタイル)」と名付けた押しずしの詰め合わせ3種類をラインアップに追加したのも、「いろいろな味を楽しみたい」という要望に応えたものだ。「KYOTO style.」では、上方ずしではあまり使われないアジやタイといった食材を取り入れ、すしダネを酢で締めたり火を通したりしてから提供する従来の上方ずしとは異なる、生ずしに近い押しずしを開発した。「アジやタイは刺し身で食べられる新鮮なものを酢にくぐらせている。上方ずしと江戸前ずしの中間的な、色鮮やかな押しずしに生まれ変わった」と丸山氏。

「KYOTO style.」は「市結(いちゆう)」(650円)、「紫乃(しの)」(800円)、「雛菊(ひなぎく)」(990円)の3種類をそろえる。生ずしのようでいて常温でも傷みにくい工夫が凝らしてある

すしダネ、シャリ(酢飯)まで変えるのは全商品に影響する大刷新だ。京樽が今回のような大規模なリニューアルに踏み切れたのは、21年4月に、あきんどスシローなどを擁するFOOD&LIFE COMPANIES(フードアンドライフカンパニーズ、F&LC)の傘下に入ったことが大きい。

F&LCでは京樽や回転すしのスシローといった同社の全ブランドで共通するキャンペーンを打ち出したり、21年7月からはダブルブランドの持ち帰りすし専門店「京樽・スシロー」十数店舗を立て続けにオープンしたりと、傘下ブランド同士の協業による相乗効果の最大化を図っている。

「F&LCの一員となったことで商品の調達力、開発力が強化された。京樽の持つ伝統を大切にしつつ、F&LCの革新性を生かして新たな商品づくりに挑戦した結果が今回のリニューアル」(石井社長)

京樽の今後について石井社長は「リニューアルで新たな一歩を踏み出すことができたが、現状に満足することなく、これまで以上においしさを追求していく。時代に即した上方ずしの在り方を追求しながら(約90年の歴史を持つ京樽が)今後も100年、200年と成長できる会社でありたいと思っている」と語っていた。

(フリーライター 堀井塚高、写真提供京樽)

[日経クロストレンド 2021年11月1日の記事を再構成]

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