ボーイズグループWATWING 6人は満場一致で決まった
老舗芸能事務所のホリプロと、個性的なアーティストが多数所属する音楽レーベルのトイズファクトリーがタッグを組んだとして業界内で話題を集めているのが、9月22日にメジャーデビューしたWATWING(ワトウィン)。両社とも男性ダンス&ボーカルグループを手掛けるのは初めてという、異色の組み合わせ。プロジェクトを率いるホリプロマネージメント第二事業部プロダクション2部の松永吉晴副部長と、A&Rでトイズファクトリークリエイティブ本部の今宮環氏に、経緯や今後の見通しを聞いた。
――プロジェクトのきっかけは?
松永 僕がK-POPのボーイズグループシーンが好きだったので、会社にそうしたグループの立ち上げを打診したところ、スカウトキャラバンとは別枠で19年4月にオーディションをやってみようと。審査に当たっては、ダンスをs**t kingzのNOPPOさんが見てくれたことが大きくて。ゼロからアーティストを作るということを踏まえていただき、ダンスのスキルではなく、とにかく表現力だけを見てくださった。ホリプロ側の審査員は私と音楽制作部長以外は、女性社員で固めました。私が見ていたのは、人となりですね。19年マネジャーを務めてきて感じることですが、売れるタレントは、人間性に優れていることが必須条件なんです。現在の6人は満場一致で決まりました。
――トイズファクトリーはどの時点から合流したのですか?
松永 去年の7月の初ワンマンライブ時に、今宮さんも見に来てくださってました。そこで、ぜひと。
今宮 数多くの男性グループの中でも放つ輝きが一目で違いましたね。全員がきちんと歌えて、踊れる。まだまだ未熟なところはありますが、持っているポテンシャルの輝かせ方が、素晴らしかった。みんな覚悟を持って日々鍛錬しているのがステージ上から伝わって、すぐに会社に戻って交渉しました。
本人プロデュースを優先
――タッグを組んだ後はどのような方向性で育成を考えましたか?
松永 育成方法で、K-POPの手法を研究しましたが、コピーしたかったわけじゃなく、実力を上げるためにお手本にした感じです。
今宮 焼き直しというよりは、今の世界的なK-POPの立ち位置を目指すというイメージです。今のBTSは、バックストリート・ボーイズやワン・ダイレクションみたいな、ボーイズグループの流れのなかにあると思います。それを意識して、音楽も作っていますね。
音楽面は、メンバー発信もかなり多いです。制作の私たちにイン・シンクのライブ映像を本人たちが見せてきて、こういうものをやりたいと言うんですよ。彼らには、あの年代の音楽が、新鮮にカッコよく聴こえているというのは、すごくポイントだなと。楽曲、アートワーク、MV、パフォーマンスに関しても、プロデューサー的目線で、グループにとって何がベストかを自分たちで考えて、やりたいことをやっていますね。
松永 そういうトイズさんの、アーティスト本人がどうしたいかという点を生かすという姿勢は、組んでよかったと思うところですね。型にハメずに、彼らの魅力を、さらに引き出してもらっています。デビューEPのリード曲の振り付けをGANMIさんにお願いしたのも、実はメンバーからの提案です。メンバーからどんどんアイデアが出てくる。彼らが我々を上手に利用しているとさえ思えるくらいです(笑)。
ボーイズグループは、メジャーじゃないと圧倒的に難しいジャンルだと思います。バンドと違って、インディーズから駆け上がるというのは考えづらい。そういう中で、最良のパートナーに巡り合えた思いです。
今宮 逆に、本当に思いやりがあって素直なメンバーがそろっているのは、ホリプロさんならではだと感じます。誰に会わせてもまったく恥ずかしくない教育をされていて。加えて、舞台や映画など、メンバーごとの個別活動も多い。個別活動が、グループにどれだけ返ってくるかがすごく大事なので、その活動の幅広さとバランス感覚はグループの大きなメリットですね。
――SNS活動については?
今宮 SNSも本人たちが率先して頑張っていますね。
松永 YouTubeもTikTokも、本人たちがネタを探して来て、すぐアップしています。中国展開を意識して、Douyinとbilibiliにもアカウントがありますが、そちらにも力を入れています。中国語も勉強させているのですが、自己紹介や自分の話くらいはできるようになりました。今はSNSくらいしか取り組めませんが、中国でのライブは大きな目標ですね。
(日経エンタテインメント! 上原太郎)
[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]
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