2021/12/27

ある1人の男性の運命は解明済みだ。おそらく、初めに路上で攻撃を受け、安全を求めて家の中に入ろうとしたが追いかけられて捕まり、入ってすぐのところで頭を殴られて倒れた。

ハウス40と呼ばれる住居では、幼い子ども2人を含む9人の遺骨が発見された。ハウス4では首を切り落とされた10代の少年の遺骨が発見され、ハウス52では囲炉裏の上に横たわる老人の遺骨が発見された。老人の骨は激しく殴打されたことを示していた。骨盤の周りに焦げ目がついていたことから、火の中に落ちた時には負傷していたか、すでに死んでいたと考えられる。

遺骨を発掘していた考古学者たちは、埋葬や一般的な葬儀が行われていないことに気づいた。遺骨は1500年以上も前に暴力に倒れた時そのままに残されていた。

「ハウス40」の発掘では生後3~6カ月の子羊の骨が発見された。これらは襲撃があった時期を知る手がかりとなった(DANIEL LINDSKOG)

残された貴重品

この遺跡の26人の犠牲者には、もう一つの共通点がある。全員、男性なのだ。穴の中からは女性用の物が発見されているため、この集落には女性も住んでいたと考えられるが、彼女たちがどうなったのかは不明で、今のところ包括的な仮説はない。襲撃者に連れ去られたのかもしれないし、全員が村から逃げたのかもしれない。

また、襲撃が軍事的なものだったことを示す証拠はない。住居内の状況や被害者の防御時の傷などから、突然、一斉に激しい攻撃に遭ったと考えられる。

法医学的な分析によると、被害者は、鈍器や、剣のような鋭い武器により、上や後ろから攻撃を受けたようだ。前腕部に外傷がなく、周辺に盾や武器が発見されていないことから、身を守る時間はなかったものと考えられる。

一方で、貴重品が手付かずのままなのは、学者たちにとって大きな謎だ。一つの仮説は、虐殺があまりにも残忍だったため、女性も含めて全員が死んでしまったか、逃げ延びても恐ろしくて戻れなかったというものだ。それでも、なぜ犯人たちが貴重品を略奪しなかったのか、なぜ後世のトレジャーハンターたちは何世紀もの間、貴重品を放置していたのかという謎は残る。

スウェーデン、エーランド島にあるサンドビーボルグ遺跡で作業する考古学者たち。2018年までに発掘されたのは、環状要塞の内部の10分の1以下だ(DANIEL LINDSKOG)
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残された謎を検証