SKY-HI 「何回生まれ直しても君たちと出会いたい」
連載 SKY-HI「Be myself, for ourselves」特別編(1)
今回は、特別編として1月29日・30日にぴあアリーナMMで開催されたライブイベント「THE FIRST FINAL」の模様を振り返る。2021年4月から8月まで放送・配信されたボーイズグループ発掘オーディション番組「THE FIRST」。SKY-HIが、これまで「THE FIRST」を応援した人々への感謝の気持ちを込めた「祭り」と位置づけたこのライブ。BE:FIRSTの7人を含む富士山合宿に参加した14人(NAOKIは新型コロナウイルス陽性のため不参加)とSKY-HIを中心に、ゲストとしてBMSGに所属する15歳のラッパーedhiii boiと、BMSG第1号所属アーティストであるNovel Coreも出演した。ここでは1月30日の夜公演を取り上げる。[「BE:FIRST」や「THE FIRST」についてはこちら]
その構成は、オーディションの道のりを立体化してステージで見せる、前代未聞の試みとなっていた。それとともにオーディション参加者1人ひとりの著しい成長を見せながら、1アーティストとしての個々へのリスペクトも伝わってくるものだった。さらには、それを通してオーディションが生んだBE:FIRSTをはじめBMSGの際限のない未来をも感じさせた。
ライブは、「THE FIRST」でSKY-HIがオーディションへの思いを語るシーンの振り返りから始まった。「自分のスタイルのままで才能を開花できる環境を掲げた日本の新しいカルチャーというものを作りたい。それをしっかり発掘して世界で活躍できるボーイズグループを作りたい」「すごいダイヤモンドが眠っている鉱山を、誰も発掘することがなく廃れていく未来が見えたのがすごいヤバいなあと」など、番組での語りがプレイバックする。「THE FIRST」の原点を改めてかみ締めたところでステージに現れたのはSKY-HI1人。そして始まったのは、オーディションのテーマ曲であり「怖くても進め」と歌う『To The First』。参加したボーイズに捧げるこの曲で幕を開けたことは、「THE FIRST」の「FINAL」であるステージの始まりに、「これしかない」ものだった。
「こんなイケてるチームなんざ他にない」
次いで、3次審査の課題曲だったSKY-HIの『Mr.Psycho』が始まり、SKY-HIが「Let's get started!」と呼び掛けると、ステージにはBE:FIRSTのSOTAとSHUNTOが登場。その後、残りの「THE FIRST」出身者も姿を現した。アリーナの広いステージに全員が横並びでダンスを披露。その一体感は、思いを1つに未来をつかもうとする「あの頃」のボーイズと、全身全霊を注いで彼らと向き合うSKY-HIの関係性を具現化するようだった。
パフォーマンス後、SKY-HIは「こんなたくさんの方にTHE FIRSTをサポートしていただいていたんだなあと改めて実感する一方で、たった1年でここまで来れたスタッフ、自分自身、そして何より参加してくれたみんなを心から誇りに思うし尊敬しています」とあいさつした。目を細めて1人ひとりを紹介したSKY-HIが、「『こんなイケてるチームなんざ他にない』ぜ!」と言うと、『Snatchaway』へ。
SKY-HIがステージを下がると、その後は、「THE FIRST」の各課題で披露した楽曲と、「THE FIRST FINAL」のためのオリジナルパフォーマンスが交互に展開。最初は、3次審査の課題曲であるDa-iCEの『BACK TO BACK』をMANATO(BE:FIRST)、SHUNSUKE、TAIKI、edhiii boiが披露。次に、JUNON(BE:FIRST)とSKY-HIが、オーディションの名シーンを再現するスキットを交えながら『ナナイロホリデー』を歌った。
そして再び3次審査課題曲のw-inds.『Beautiful Now』をLEO(BE:FIRST)、REIKO、JUNON、RAN、TENが歌い上げる。ここで挟んだのはTEN、SOTA、SKY-HIの3人による『F-3』。タイトなラップが印象的なSKY-HIのソロ曲は、3人でパフォーマンスすることでダンスやユニゾンが加わり、別の魅力を見せてくれた。最後の3次審査課題曲SKY-HI『Sexual Healing』には、RUI、SOTA、RYUHEI(BE:FIRST)、RYOKI(BE:FIRST)、SHOTA、SHUNTOに加えてSKY-HI自身も参加。
3次審査のプレイバックを軸としたこのパートでは、スクリーンに当時の彼らのパフォーマンスも映し出された。記憶が蘇るとともに今ステージに立つ全員の大きな進化を感じさせた。
「THE FIRST」の仲間への思いを胸に
以降、観客はステージを通して「THE FIRST」をほぼ時系列で追体験する至福の時にますますどっぷりと浸かっていく。富士山合宿の1つ目「クリエイティブ審査」のステージは、チームC(SHUNTO、SHOTA、REIKO、RUI、TAIKI)の『YOLO』で幕を開け、次いでチームB(RYOKI、RYUHEI、JUNON、RAN、SHUNSUKE)の『Good Days』、チームA(LEO、SOTA、MANATO、TEN ※NAOKIは不参加)の『"A"Life』が続く。クリエイティブ審査は、15人のメンバーが3つのチームに分かれ、同一のトラックにメンバーたちが歌詞とメロディー、コレオグラフィーを創ったもの。「THE FIRST」のオーディションとしての独自性を世に知らしめ、注目度がぐんぐん上がった審査でもあった。
3曲のパフォーマンス後には不参加のNAOKIがVTRで出演。そして、合宿参加メンバーとSKY-HIが再びステージに現れ、始まったのはBE:FIRSTの『Kick Start』。BE:FIRSTのデビューシングル『Gifted.』のカップリング曲であり、BE:FIRSTの7人がクリエイティブ審査と同じトラックを使い、「THE FIRST」の仲間への思いを胸に、新たなメロディーと歌詞、振り付けで作り直した曲だ。この曲を全員が集ったステージで歌う姿は非常にエモーショナルだった。
曲の途中でSKY-HIが「いやあ、みんな最高だよ」「いろんな才能がいろんなところにいると思うんだけど、俺、やっぱ何回生まれ直しても君たちと出会いたいもん」と話すと、ボーイズも「僕たちもそうですよ」「俺らもですよ」と口々に返す。「THE FIRST」が彼の人生にとっていかに大きなものだったかに、改めて強く感じ入るものだった。その後、SKY-HIは1人ひとりと最初の頃の思い出を振り返っていった。
(次回へ続く)
2月28日までHuluストアにて独占配信中。併せて見たいのが、ライブの裏側に密着した『BE:FIRST Gifted Days Road to THE FIRST FINAL』(Huluにて配信中)だ。また、BE:FIRSTの『Brave Generation』の本ライブのパフォーマンス映像は、2月28日までYouTubeチャンネルで公開している。先に公開されたLyric Videoは1週間で再生回数は約140万回、ライブのパフォーマンス映像は24時間で50万回を突破。プレデビュー曲『Shining One』、デビュー曲『Gifted.』とも異なるボーカルとダンスの表現に、BE:FIRSTの無限の可能性を感じさせる。
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任。現在、21年10月27日にリリースしたオリジナルアルバム『八面六臂(はちめんろっぴ)』を引っさげた「SKY-HI HALL TOUR 2022-八面六臂-」のツアー真っ最中。ライブの映像は2月26日からHuluストアにて独占配信される。
【過去の記事一覧と「BE:FIRST」についてはこちら】
(ライター 横田直子)
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