日経クロステック

部長であれば、求めている人がどんな人なのかもう少し詳しく話してほしいものです。「人材要件は〇〇」という表現は難しくても、必要な能力や性格などを具体的に説明することはできるはずです。

それができなければ、人事部門も要員計画を立てにくいのです。中途採用すべきなのか、社内異動がよいのか、新人が向いているのかも分かりません。

「明るく、元気で、辞めない」というのが本当に必要な人材要件ならともかく、ろくに調べたり考えたりせずにこのセリフを言う人が多いのです。それでは「ああ、いつもの愚痴か」と思われても仕方がないでしょう。

役員によっては、いきなり社長経由で人事部門にプレッシャーをかけてくるケースもあります。本人は効果的な方法だと考えているのでしょうが、そんなことをされたら協力する気も起こらなくなるものです。

人事部門に真剣さを伝え、人材補充に動いてもらうためには、ぜひ必要な要件を具体化することから始めていただきたいと思います。部長は課長に、課長は現場の担当者に、現場にアルバイト従業員が多ければアルバイト従業員に、「どんな人に来てほしいか」を確認してみてください。

そして「少なくとも入社○年目の、○○のスキルを持っている人が必要」のように具体的な言葉にして、人事部門に伝えてください。こうした情報があって初めて、人事部門も補充に向けて動き出せます。

現状の人員や補充したい人材要件を具体化しておくと、他部署との交渉も有利に進められます。人事権を持った役員が集まると、声の大きい役員が自分の有利なように人材の配置を決めてしまうことが時にはあります。しかし自分の職場の適正人員や必要な人材をきっちり言語化できていると、対等に議論できるようになります。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2022年4月7日付の記事を再構成]