
三菱鉛筆はゲルインクボールペン「uni-ball one(ユニボール ワン)」の新色を次々と開発し、数量限定で発売している。新色は3~4色のセット売りで、店頭に並ぶと瞬く間に売れていくという。人気の理由は、色を情緒的に想起させ、中高生がときめくようなネーミングで共感を得る、今までにないボールペンの売り方にあった。
三菱鉛筆のユニボール ワンは、全20色のゲルインクボールペンだ。同社はゲルインクボールペンのメインターゲットである中高生への調査などから、「ノートやプリントは見返すものなので、書き込んだ文字が濃いほうが読みやすく、きれいに見える」という声を基にインクを改良。一般的なゲルインクよりも黒インクはくっきりと濃く、カラーインクは鮮やかに発色する「ユニボール ワンインク」を新たに開発し、20年2月にユニボール ワンに採用して発売した。
速乾性が高く、文字の上に蛍光ペンでラインを引いてもにじみにくい。これもノートの読みやすさを追求して生まれた機能だ。オフホワイトを基調としたシンプルな軸とワイヤのクリップも、今の学生の好みを意識してデザインした。中高生はもちろん、文具好きの大学生や社会人にも支持されており、発売から約1年8カ月の売れ行きを見ると、同社の従来のノック式ゲルインクボールペンの4倍以上だという。
ユニボール ワンの人気を後押ししているのが、20年11月から4回にわたって数量限定で販売している新色だ。毎回、テーマを決めて新色を開発し、3~4本を紙製パッケージ入りでセット販売する新しい売り方が奏功している。店頭に並ぶと瞬く間に売れていき、すぐに完売する店舗も少なくないという。


三菱鉛筆 商品開発部 商品第四グループの古場涼太主任は「新色を次々と販売する狙いは、全20色のユニボール ワンの認知度をさらに高め、ファンを増やすこと。限定商品を販売すると、文具店の多くは定番商品の横にディスプレーしてくれる」と言う。ユニボール ワンブランドを常に活性化させて、相乗効果で定番色の売り上げも伸ばしていこうという考えだ。商品開発部デザイングループの増田真由子係長は、「新色を単体で発売するだけでは、ワクワクしないと思った。テーマを設定して色に意味を持たせて、アソートにして販売してみることにした」と話す。