診断は病院の心電図で行いますが、診断のためには、心臓に異常があるときに記録ができなければいけません。心房細動は発作的に起きるので、それを1年に1回の定期健診のわずか数十秒の測定で見つけることはまず難しいのです。

「心電図は長く記録すればするほど病気の検出感度は高まる」(木村専任講師)ことから、医療機関では24時間継続して心電図測定をする「ホルター心電図検査」が一般的に行われますが、それでも頻度の少ない発作を見つけることはなかなかできません。

心房細動では症状の感じ方に個人差があることも問題です。「胸がもやもやする」「バクバクする」といった症状から「喉が詰まる感じ」という人もいますが、症状が全く出ない人もいます。実際、約半数の人は無症状だといわれています。

治療はどう行われる?

治療には医学的専門的検査の結果に基づいた医師の診断が必要です。そして心房細動の発作頻度、年齢、心臓の状態などを見極めて薬物治療、カテーテル治療など最適な治療を行います。

薬物治療でまず用いられるのは血液をサラサラにする薬。かつてはワルファリンという薬しかなく、効果を採血でコントロールする必要がありました。現在では「直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)」が登場。血液のサラサラ具合の調整をせずに服薬を続けられるようになりました。このほか不整脈を抑制する薬が使われることもあります。

問題は、薬物治療では、心房細動が原因の脳梗塞のリスクを3分の1程度にしかできないことです。木村専任講師は「血液をサラサラにする抗凝固療法は、脳梗塞を100%予防するものではありませんし、出血のリスクも高めてしまうので、薬を飲んでいれば安心というわけではありません。また、心房細動が持続する時間が長くなると、心臓が拡大してポンプとしての機能が低下し、心不全のリスクも高まってしまいます」と解説します。

最近では、それを防ぐために、適切な時期に前述のカテーテルアブレーションを行うことが勧められています。これは太ももの血管からカテーテルを挿入、心臓の中で心房細動の原因となる乱れた電気信号を出している領域を焼くことで心房細動を根治するというものです。また、最近では脳梗塞の原因となる、心臓の血液のよどみができやすい部分にフタをして、血液をサラサラにする薬の代わりにするような新たなカテーテル治療も登場。より患者の負担の小さな治療が目指されています。

この記事は、「アップルウォッチの心電図アプリ 脳梗塞のサイン発見につなげる活用術」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/20/060500006/070900024/(荒川直樹=科学ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年12月27日付記事を再構成]

「日経Gooday 30+」の記事一覧はこちら

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。