南アのケープペンギン、15年で絶滅? 気候変動で危機

2021/12/19
ナショナルジオグラフィック日本版

シロサイよりも深刻な絶滅の危機にさらされているケープペンギン。あと15年で絶滅するとも言われている(PHOTOGRAPH BY MELANIE WENGER)

アフリカ大陸唯一のペンギンであるケープペンギンが絶滅の危機にひんしている。そのため、1羽でも多く救おうと、現地で熱心な保護活動が続けられている。

南アフリカの海に暮らすペンギンの数は、過去30年間で73%減少した。つがいの数は1991年には4万2500組だったが、2021年には1万4000組にまで減っている。このままいけば、あと15年で野生のケープペンギンは姿を消してしまうかもしれない。主な原因は、乱獲や気候変動の影響による、エサとなるイワシの減少だ。

7月のある朝、南アフリカ共和国ケープタウンに近いフォールス湾のフォクシービーチで、南アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)のリサーチマネージャーを務めるケイトリン・ルディニア氏が、ケープペンギンの群れを観察していた。すると、1羽の成鳥の様子がおかしいことに気付いた。地面にうつぶせになったまま全く動いていない。片方の脚は後方に伸びて、固まっているように見える。

数分後、網を持ったレンジャーがペンギンの群れをかき分けて近寄って見ると、その脚には漁網用の糸がきつく巻き付いていて、傷口が炎症を起こしていた。糸は、皮膚に食い込んでほぼ骨まで達していた。

獣医の手当てが必要と判断されたため、ペンギンは車で町の反対側にある財団のリハビリテーションセンターまで運ばれた。センターでは、救助された卵からかえった赤ちゃんや、捨てられた子ペンギン、けがをした成鳥が保護されている。「糸を切って傷口を塞ぐことができるといいのですが。もしそうでなければ脚を切断しなければならないかもしれません」と、ルディニア氏は話していた。

ケープペンギンは主に、ナミビア沖のホラムズバード島から始まって南へ向かい、大陸最南端の岬を回ってアルゴア湾に至るまでの島々に分布してきた。これまでは本土よりも島で多く繁殖してきたが、最近ではフォクシービーチやその近くにあるボルダーズビーチなど、本土にすむ群れの方が安定的な数を保っている。

この2つの群れは、サイモンズタウン・コロニーと呼ばれるより大きな群れに属し、その生息地である海岸沿いの地域は約2キロにわたって保護区に指定されている。

サイモンズタウン・ペンギンコロニーの一部をなすフォクシービーチの群れ。このビーチは、アフリカ大陸本土にある数少ないペンギン繁殖地の一つだ。観光客は、遊歩道の上からペンギンを観察したり、場所によってはビーチへ直接入って、すぐ近くまで寄ってみることもできる(PHOTOGRAPH BY MELANIE WENGER)

保護活動家の提案を受けて、南アフリカ共和国のバーバラ・クリーシー環境林業漁業相は、ケープペンギンの主なコロニーがあるダッセン島、ロベン島、ストーニーポイント、ダイヤー島、セントクロイ島、バード島の周囲約20キロの緩衝地帯で、巻き網漁を禁止することを検討している。南アフリカのペンギンの88%が、これらの島に生息している。

巻き網漁は、魚の群れを網でぐるりと取り囲み、イワシなどの小さな魚を一度に大量にすくい上げる漁法だ。地元の漁師にとってイワシは大事な収入源だが、ペンギンたちにも生き残りがかかっている。

ペンギンと自撮りする観光客。ペンギンの3メートル以内には近づかないよう推奨されているが、コロニーの管理者たちは、観光客よりもエサであるイワシが減少していることの方がペンギンにとって脅威であると言う(PHOTOGRAPH BY MELANIE WENGER)
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