人事異動は好機!ミドルも脳はアップグレードしまくり脳科学者に聞く「脳」の活性化術

写真はイメージ=123RF
日経Gooday(グッデイ)

体の老化とともに最近、脳の老化も気になる――。「ほら、あれあれ!」と固有名詞がどうしても出てこなかったり、変化の激しい仕事環境についていけなかったり。そこで、公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀さんに、脳にまつわる素朴な疑問や悩みの解決法について聞いた。

年齢とともに衰えやすいのは「前頭前野」と「海馬」

――日常のさまざまな行動と脳活動の関係を研究されている篠原先生に、働き盛り世代の脳について教えていただこうと思います。ある年代になると、そこまで出かかっているのに固有名詞が思い出せない、集中力が低下したように感じるなど、脳の老化が心配になってきます。

まず、脳の老化について基本的な質問なのですが、日常的に頭をしっかり使っているようでも、やはり脳は老化してしまうのでしょうか。

篠原さん 大前提として、脳も体の一部である、ということを認識しましょう。脳も全身と関連しあっている臓器です。脳の健康維持を望むなら、全身の健康を意識することが大切です。

脳の老化というと、認知機能の低下や認知症を思い浮かべるかもしれませんね。2019年に世界保健機関(WHO)は「認知機能低下および認知症のリスク低減のためのガイドライン」を公表しています。このガイドラインでは、認知症の発症や進行を遅らせるために重要なこととして、世界で現状とりまとめられているエビデンスをもとに示しています。挙げているのは、運動、禁煙、高血圧や糖尿病のコントロール、バランスのいい食事。まさにオードソックスな「健康のための習慣」ですね。この記事を読んでいるような方は、もともと健康に関心を向け、行動されているはずで、まずは「その行動は認知症予防にもつながりますよ」と言いたいですね。

――それはほっとする情報です。確かに脳も体の一部ですよね。ということは、見た目や体に老化を感じたら、脳の老化も始まっている、とも考えられます。例えば、「脳のこの部分の老化が進みやすい」といったことはわかっているのでしょうか。

篠原さん 年齢とともに衰えやすい代表的な部位があります。それは「前頭前野」と「海馬」です。

前頭前野は、額の後ろあたりにあり、記憶や学習、感情、言語などを制御する司令塔の役割を果たしています。一方、海馬は短期記憶(新しい記憶)を保存したり、取り出したりといった作業をする部位です。

前頭前野や海馬の働きが低下してくるから、「あれ」「これ」「それ」が増える。「瞬間的に覚えて瞬間的に対応する」といった、ややこしい作業が苦手になってきます。あれをやろうとして部屋を移動したのに「何をしようとしていたんだっけ」、っていうことが起こりやすくなります。

一方で、脳の内部にあり、やる気の中核となる「線条体」は、脳の使いようによっては40歳、50歳あたりに最も充実することがわかってきました。

脳の老化で覚えておきたい3つの部位はここ

原画=123RF
次のページ
経験の蓄積で脳のつながりが増える
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント