共通項見いだし、共感値高めたメッセージ

ビジネス社会において何かを訴えるとき、一方的な思いを述べるだけでは他者にはなかなか伝わりにくいものです。相手の真意を読み解くなかで、自分と相手の共通項を見いだし、共感値を高めると、メッセージの本質がより伝わりやすくなります。

この場面での音羽と厚労相との共通項は「人の命を救う医師である」ということでした。音羽はその共通項を心の奥底で意識し信じていたからこそ、降格となるリスクも背負った上で、命令に歯向かい、正しいと思う進言をしたのです。

その結果、厚労相は悪徳政治家である民自党幹事長に逆らう決意をし、MERの活動継続を決定します。その決定の背景には、命がけでMER存続を望む東京都知事の姿勢と、自身同様に医系技官である音羽の正義と情熱を目の当たりにしたことがありました。その証拠に、ドラマのラストで、音羽は厚労相や都知事が見守るなかでMER統括官に昇進しています。

ビジネスパーソンにとっては、希望がにじむエンディングでもありました。そして、ゆがんだ組織の狭間で立ち回り続けた音羽が地位を得た姿がとても印象的でした。

他者への伝え方のポイントを押さえた上で、自分が正しいと思う主張と選択をし、自身のあるべき姿を目指していきたい――。音羽のキャリア道を通して、そんなメッセージをくみ取ることができたように思います。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。JazzEMPアンバサダー、日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。地上波初の株式市況中継番組を始め、国際金融都市構想に関する情報番組『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE TV)キャスターを務めるなど、テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへ出演。雑誌やニュースサイトにてコラムを連載。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。