
どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。今回は香港発「太極拳は腹やせに効く」という研究結果です。
太極拳を週3回×3カ月、ウエストサイズや体重がゆるやかに減少
太極拳はゆるいので、運動効果は低いのでは、と思っている人もいるかもしれない。
メタボリックシンドロームの診断基準にもなっている腹部肥満。太極拳を続けると、早歩きや筋トレと同じように、ウエストサイズが減って、腹部肥満が解消される可能性が示された(データ:Ann Intern Med. (2021)174(8):1050-1057.)。50歳以上の腹部肥満の男女543人を対象にした香港の研究によるもの。
参加者を、有酸素運動や筋力トレーニングといった通常の運動を行う群(運動群:181人)、太極拳を行う群(太極拳群:181人)、運動介入を行わない群(対照群:181人)に無作為に割り付けた。運動と太極拳は、インストラクターの指導のもと、1時間のセッションを週3回、12週間行った。
運動群では、早歩きと筋力強化の運動(アームカール、アームレイズ、ショルダープレス、スクワット、ヒールレイズなど)を行った。太極拳は、最も一般的な楊式太極拳(24式)が用いられた。楊式太極拳の代謝消費量は約3.24 METs(メッツ)になるという。METsは安静時を1とする身体活動の強度。この研究では太極拳群と運動群での介入は3.0~5.9 METs以内で行われた。
開始前のウエストサイズは平均で対照群は91.6cm、運動群は92.3cm、太極拳群は92.4cmだった。12週間後、運動も太極拳も行わなかった対照群はウエストサイズが増えたが、運動群と太極拳群は開始前に比べて減少。対照群と比べると、運動群は1.3cm、太極拳群は1.8cm減り、統計学的に有意に減少していた。介入から6カ月を過ぎた38週後でも2群のウエストサイズの減少は維持され、対照群に比べて運動群は3.6cm、太極拳群は4.3cm減っていた。