検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

謎多き国家アステカ 同盟帝国だったから滅亡した?

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

15世紀から16世紀にかけて繁栄したメソアメリカ文明の国家アステカ。その都テノチティトランの遺跡は、メキシコの首都メキシコシティの地下にある。近代的な建築物に囲まれた「テンプロ・マヨール(大神殿)」遺跡の調査が進み、アステカの都市とその住民の姿が次々と明らかになっている。

スペインによるアステカ征服は1521年のこと。これまで、ヨーロッパ人による記録の多くは征服者であるエルナン・コルテスを主役にしていたが、近年は、征服された側であるアステカ人の記録が注目されるようになってきている。そこには、メソアメリカの都市国家間の同盟が、いかにして急速に力をつけ、失われたかという、複雑で魅力的な物語が展開されている。

カラフルな年代記

「アステカ」という呼称は、ドイツの科学者で探検家でもあったアレクサンダー・フォン・フンボルトによって19世紀初頭に作られた造語であり、アステカの人々は自分たちを「メシカ(Mexica)」と呼んでいた。

アステカ時代のメソアメリカに関する私たちの知識の多くは、メシカ自身が残した記録と、1519年以降にスペイン人が作った記録によるものだ。現在のメキシコからコスタリカまでの地域にあたるメソアメリカには、アステカ以外の文化や都市国家も数多く存在していたが、アステカについては、豊富な資料が残っているおかげで、より具体的なことがわかっている。メシカの人々は記録の中で、自分たちは権力を持つことを宿命づけられた民族であり、数々の困難を乗り越えて広大な帝国を支配するに至ったとしている。

メシカの人々は、自分たちの祖先、行い、信仰、習慣などを絵文書(コデックス)に記録していた。

その多くはスペインの侵攻の際に失われたが、5つは残った。これらはスペイン人によって略奪されてヨーロッパに送られ、現在はいくつかの博物館に所蔵されている。

テノチティトランの陥落後、絵文書の制作は再開された。なかには、スペインの人々がメソアメリカの人々をよりよく理解し、植民地支配に役立てるために作られたものもある。特に有名なのは、スペイン王でもあった神聖ローマ皇帝カール5世のために1542年に制作された「メンドサ絵文書」だ。絵文書にはスペイン語の解説も添えられており、第1部にはテノチティトランの歴代のトラトアニ(統治者)と、それぞれが征服した都市について記され、第2部には彼らが受け取った貢ぎ物が記されている。

アステカの都市国家は、貢ぎ物のほか交易によっても潤っていた。アステカの中心を成していたテノチティトラン、テスココ、トラコパンの三国同盟に関する知見の多くは、テノチティトランの貢ぎ物の絵文書から得られたものだ。

テスココとトラコパンに関するこの種の記録は見つかっていなため、全体像はまだ明らかではないものの、15万人から30万人と言われるテノチティトランの住民の暮らしがどのように支えられていたかを知る上で、絵文書は興味深い資料だ。食料、原料、布地は都市の近郊で調達され、金、天然ゴムの樹脂、カカオ、貴重な羽毛などのぜいたく品は広大な帝国の遠く離れた場所から運ばれていた。

権力の中心

メシカはもとは遊牧民で、移住を繰り返した後、都市国家アスカポツァルコが支配するメキシコ盆地のテスココ湖の島々に定住した。メシカは傭兵として活躍し、激しい戦いぶりで知られていた。彼らは、10世紀から12世紀にかけてこの地域を支配し、強大な文明を築いたトルテカ人と同じナワトル語を話した。

1325年ごろ、メシカはテノチティトランを建設して首都としたが、その後も長らくアスカポツァルコの支配下にあった。15世紀初頭にアスカポツァルコの君主が死去して後継者をめぐる争いが起こり、国力が衰退すると、1428年に、テノチティトラン、テスココ、トラコパンの3都市による新たな勢力「三国同盟」が誕生した。

三国同盟が成立した当初はテスココとテノチティトランの2都市が優勢だったが、やがてテノチティトランが単独で大きな力を持つようになる。

三国同盟はアスカポツァルコをはじめとする近隣の国々を支配下に置いていったが、領土の拡大に熱心というわけではなかった。しかし、1450年から1454年にかけて大飢饉(ききん)がメキシコ盆地を襲い、状況が変わった。三国同盟は食料を生産する土地を必要とし、他の都市国家の征服が始まった。

領土の拡大は、三国同盟の実質的な支配者であるテノチティトランの第6代の統治者アシャヤカトルの下で加速した。

帝国の拡大と崩壊の背景

1481年、アシャヤカトルの弟のティソクが第7代の統治者になった。彼の治世は短く、反乱が起こり、領土もたいして拡大できなかったが、その権力を誇示する「ティソクの石」という円盤状の石碑が残っている。

次に権力を握ったのは、アステカで最も偉大な統治者とされるアウィツォトルである。彼は今日のグアテマラまで国境を広げ、マヤの地に迫った。1502年にアウィツォトルが死去するとモクテスマ2世が第9代の統治者となり、太平洋側のサポテカ人の土地にまで三国同盟の影響力を大きく広げた。エルナン・コルテスが運命の上陸を果たし、1519年4月22日にベラクルスに植民地を設立したときの統治者もモクテスマ2世だった。

帝国を拡大する手段は戦争だけではなかった。都市国家やその土地は、外交や相続によっても獲得された。同盟の領土内の領主の死はチャンスであり、権力継承のプロセスは、しばしば緊張したものとなった。後継者候補が同盟の力に抵抗すれば、メシカに従順な近親者に交代させられることもあった。地方を強力に支配することで、アステカはより多くの力を蓄えられたのだ。

このシステムにより、同盟内には複雑な権力構造が形成されていった。ある地方の領主はテノチティトランの大領主に従い、別の地方の領主はテスココやトラコパンの大領主に従うといった構造である。この複雑な構造にもかかわらず、三国同盟は数十年の間に急速に発展したが、複雑さによって生じた争いがテノチティトランを滅ぼす要因となった。

後継者選びが複雑になるのは、複数の後継者候補が大領主との間で同じような関係にあり、大領主がその中から1人を選ばなければならない場合だ。コルテスが到着する少し前に、テスココの統治者ネサワルピリが死去したとき、まさにこの状況になった。

3人の後継者候補は、いずれもテノチティトランの貴族を母に持っていた。そのため、モクテスマは2つの派閥を拒絶する危険を冒さなければならなかった。拒絶された後継者候補の1人であるイシュトリルショチトルは、のちにスペインと同盟を結ぶことになる。

権力の疎外と地方の対立がテノチティトランの崩壊の要因となった。スペインの侵攻を前にして、メソアメリカの都市国家はそれぞれに生き残りの道を選んだ。トラスカラのようにスペインと同盟を組むことを選んだものもあれば、メシカのように戦うことを選んだものもあった。スペインがアステカを滅ぼした1521年の出来事について再検証が始まっている今、メシカの物語とその運命については、まだ多くの謎が解明される日を待っている。

(文 JOSÉ LUIS DE ROJAS、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2021年9月25日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_