日経トレンディ

スマホ低料金プランの1カ月当たりのコストを比較(21年9月29日時点。金額は税込み。Rakuten UN-LIMIT VIは楽天回線エリア外での高速通信は国内5GBまで)

povo2.0には「20GB・30日間」で2700円という追加データ容量があるが、スマホの継続的な利用を前提とするなら、「60GB・90日間」や「150GB・180日間」を選んだ方が、1カ月(30日間)当たりのコストは安くなる。上の比較表では、それらを採用してコストを計算している。

1カ月当たりでは絶妙な値付けのpovo2.0

まず、月間のデータ使用量が1GBまでと極めて少ない場合は、0円の楽天モバイルが有利。povo2.0の「1GB・7日間」は利用期間が短く、継続的な利用には向いていない。データ量が月間3GBまでと多少増えた場合は、povo2.0の「3GB・30日間」とLINEMOのミニプランが990円で並ぶ。

月間20GBまでとそれなりのデータ容量を必要とする場合は、povo2.0の「60GB・90日間」が1カ月当たり2163円で、楽天モバイルの2178円を僅かに下回る。また、「150GB・180日間」も1カ月当たりでは同額の2163円なので、コスト面では同じだ。こちらはデータ容量が月25GB相当あるので、20GBを超えて使う月もたまにありそうなら「150GB・180日間」を選んでもいい。

月間25GBを超えて大量のデータ通信を行うとなると、自社回線エリアはデータ無制限で3278円の楽天モバイルに分がある。ただし、楽天回線は地方(特に過疎地域)や大型ビルの屋内、地下などでエリア整備が遅れている部分がある。楽天回線エリア外ではパートナー回線(KDDIのローミングによる)につながるが、パートナー回線利用時の高速通信は月5GBまで(国内)となっているため、スマホを主に使うエリアの通信環境によって使い勝手が左右される面がある。

ahamoは、データ容量20GBと「5分通話無料」込みで月額2970円。一方、povo2.0の1カ月当たりのコスト2163円に、5分通話無料オプションの月額550円を加えると計2713円。この比較でも、povo2.0がやや有利だ。また、この2713円は、LINEMOのスマホプラン(データ容量20GB、契約後1年間は5分通話無料オプションが無料)の月額2728円も僅かに下回っており、絶妙な線を狙った値付けともいえそうだ。

もっとも、音声通話を頻繁に利用する人は、専用アプリを使うとかけ放題になる楽天モバイルがトータルでは安くなるケースが多い。データ通信がメインならpovo2.0が、音声通話をする機会も多いなら楽天モバイルが、現状ではコスト面でメリットを得やすいといえる。

訴求力を高めたpovo2.0。これまでになかったその新たな料金体系が、消費者にどう受け入れられるのか。また、他社が今後どのような対抗策を打ち出してくるのか、注目されるところだ。

注)情報は21年9月29日時点。画像はpovoのサイトから

(日経トレンディ 小谷真幸)

[日経トレンディ2021年11月号の記事を再構成]

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