日経クロステック

上昇志向が消えた瞬間に重荷から解放され、良い意味で力が抜けるということなのでしょうか。会社に行くのも気が楽になります。

気持ちに余裕が生まれたことから、業務の中で改善すべき点に自然に気づくようになる人もいます。改善は期待せずに上司に伝えておけば、「サボっている」と思われることもなくなります。そこで仕事を振られたとしても「私の専門外なので」と断ればよいでしょう。このひと言で逃げられるくらいなら、管理職も本当に改善する意思などなく、思いつきで言っているだけだと捉えればよいと思います。

会社に怒りや失望感を抱いたまま長く会社員人生を過ごすのは望ましいこととはいえません(写真はイメージ)=PIXTA

言われたことだけこなしている状態が続くと、雇用継続の危機が訪れるかもしれません。しかし指示内容をきちんと完遂していれば、真っ先に早期退職の対象者にはなりにくいでしょう。

また上司の度量にもよるのですが、積極的な提案や意見を出してくるものの自分にぶつかってくる部下と、指示したことを確実にこなす部下では、後者を手元に置きたいと感じる人は多いものです。上昇志向を捨てて目の前の仕事をこなしていこうと決めたことで、逆に上司に頼りにされるようになり、モチベーション向上につながることもあるのです。

小さな幸せを探してみよう

仕事に対する意欲を失ったときは、仕事以外で小さな幸せを探すことも大切です。小さくても生きがいを見つけられれば、日々に充実感が生まれます。小さな幸せを感じる瞬間をつくることも、ビジネススキルの1つだと筆者は考えます。

例えば月に何度か、コンビニで値段を見ずに好きなものを買う、というのもいいでしょう。野菜や花を育てる、山歩きやマラソンをする、自他共に成長を実感できるレッスンに通う、などもあります。

これらに共通するのは、自分で目標を設定して取り組み、自己満足に浸れることです。このように1人でできる楽しみや趣味を持っている人は、会社で不本意なことがあっても気持ちを持ちこたえられているように思います。

まずは仕事に対して割り切りを持つ、そして仕事以外で小さな幸せを見つける。そこから始めてみてはいかがでしょうか。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2022年2月3日付の記事を再構成]