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「韓国風もみのり」なぜ売れる?10年前は鳴かず飛ばず

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日経クロストレンド

2018年度に半世紀ぶりの凶作にみまわれ、大打撃を受けた国産のりだが、農林水産省の「令和2年漁業・養殖業生産統計」によれば、19年の加工のり生産量は約64億枚、20年の加工のり生産量は約75億枚と、回復してきているという。この回復に一役買っているのが、韓国で親しまれている「もみのり」を日本風にアレンジした韓国風もみのり製品だ。「元祖ぶっかけ韓国のり」が、18年に韓国食材専門商社のオリオンジャコー(群馬県館林市)から発売されヒットすると、日本メーカーが続々と新製品を開発。今やのり業界を活性化する起爆剤として期待がかかるカテゴリーになっている。「韓国のりをフレーク状にしただけ」ともいえる製品が売れているのはなぜか。

「元祖ぶっかけ韓国のり」が火付け役

きっかけとなったオリオンジャコーの「元祖ぶっかけ韓国のり」は現在までに累計1000万個以上売れており、新型コロナウイルス禍以降は「需要に供給が全く追いついていない状況」(オリオンジャコー)だという。

この影響は他社にも波及した。

永井海苔(愛知県豊橋市)が2012年9月から販売しているロングセラーの「韓国味付ジャバンのり」も売り上げが急上昇。21年の売り上げは19年比で約3倍の380万個を突破しており、今後は売上高で10億円を目指すという。「白子のり」の白子(東京・江戸川)が19年6月に発売した「サクうま韓国のり(30g)」も、発売時から21年8月までの販売個数が約103万個に上り、これまでに2億1000万円を売り上げている。

さらに小善本店(東京・台東)が21年4月1日に発売した「のりカケルくん」は、シリーズ3品が半年足らずで1億円以上の売り上げを記録。同社はコンビニのおにぎりののりなどの業務用と市販用を扱うのり企業で、「広い販売網を持つPB(プライベートブランド)商品は爆発的に売れることもあるが、弊社のNB(ナショナルブランド)商品としてはあまり見たことがないスピードの売れ方」(小善本店 商品開発本部 小林智則本部長)と驚きを隠さない。

12年の発売時は鳴かず飛ばずで終売

韓国風もみのりカテゴリーで販売される製品には、製法によって「ジャバンのり系」と「もみのり系」の2系統がある。ジャバンのりは韓国で広く食されているのり製品で、のりを原藻の状態で甘めに調味して油で炒めたもの。これに対してもみのりは日本で誕生した作り方で、焼いた板のりを粉砕し味付けしている製品を指す。

各メーカーの話を総合すると、韓国風もみのりに分類される商品で日本で最初に発売されたのは、韓国の味に近いジャバンのり系製品だったようだ。03年ごろからの韓流ブームが起こる以前から、韓国のりを日本に定着させるべく取り組んできた小善本店が、12年3月にジャバンのり系をアレンジした「つまみ海苔」2品(「甘味」「塩味」)を発売。「韓国市場ではスナック感覚のもみのり製品の消費量が拡大していたが、日本でのジャバンのり系製品の流通量はほぼゼロという状況。その中で、市場に価値を問う挑戦だった」(小林本部長)。しかし思うように売り上げが伸びず、15年に終売。「今思えば、時期尚早だった可能性がある」と小林本部長は振り返る。

同じ12年の9月(一部7月から出荷)に発売された永井海苔の「韓国味付ジャバンのり」は、味付けを工夫。韓国国内で食べられているジャバンのりは比較的油気と甘味が強いものが多かったため、韓国のメーカーと打ち合わせを重ね、日本人の好みに合うよう甘みはほのかに感じられる程度に抑えた。これが功を奏して、現在まで売れ続ける商品に育った。「味がしっかりしており、サラダや麺類に合わせやすいことも、ロングセラーの理由と考えている」(永井海苔 商品企画部 赤澤学氏)

韓国風と日本風のハイブリッド品が契機

一方、韓国風もみのりブームに火を付けた「元祖ぶっかけ韓国のり」を生み出したオリオンジャコーには、以前から外食産業に卸す「もみのり」があった。これは砂糖を使わずに油と塩でシンプルに味付けしたのりの原藻を、炒めず焼き上げてからフレーク状に砕く、のりの香りを損なわないように考案した製法による製品だ。

もみのりは社員の家庭でも人気で、様々に楽しんでいた。中でも社員が考案したメニューである、ご飯に焼き肉のタレともみのりをたっぷりかけて卵黄をのせる「特製のり丼」は、子供から大人まで大好評だった。こうした経緯から同社では、もみのりを一般家庭向けに商品化すれば、従来のジャバンのりと差別化でき、確実に売れると確信したという。

輸入規制の問題をクリアした後、社内で定着していた「ぶっかけのり」という名前から、「ぶっかけ韓国のり」という商品名で発売したところ、冒頭のように売れ出した。

使い方がズバリ分かるぶっかけのりというネーミングと、パッケージに社員の家庭で愛食されていた特製のり丼の写真を大きくのせたインパクトは大きかった。「卵黄をのせた調理例が、消費者にとってはおいしく手軽に食べられるレシピとして具体的にイメージしやすかったと考えている」(オリオンジャコー)

各社のパッケージ写真を時系列で眺めてみると、ぶっかけ韓国のりより前は卵黄がのっている写真は少ないが、以降はかなりの確率で卵黄がのった写真が採用されていることからも、その影響力がうかがえる。

また発売前には各バイヤーに特製のり丼を試食してもらう機会を用意。実食した担当バイヤーから販路がどんどん広がっていった。

なお同商品発売以前の15年3月に、ニコニコのり(大阪市)から、「ニコニコのり 韓国味もみのり」が発売されている。これは食塩とかどや製油のごま油100%で味付けした板のりを食べやすいようにカットしたもので、ジャバンのり系ではなく、オリオンジャコーの「ぶっかけ韓国のり」にかなり近いといえる。

もみのり系が百花繚乱(りょうらん)

元祖ぶっかけ韓国のりが売れたことは、沈滞していたのり業界を揺さぶるニュースとして広がり、様々なもみのり系製品が発売されるようになった。19年6月に発売された白子の「サクうま韓国のり」もその1つ。同社によると、韓国ブームで韓国料理のレシピが一般家庭でも広く認知されるようになったため、韓国料理でよく使われているもみのりを参考にして商品開発をしたという。

特徴は原料で、韓国産だが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「ユネスコエコパーク」に指定された地域「新安」で採取した原料を使用しており、軟らかく、のり本来の風味が強く感じられる。その風味を生かすために、味付けの塩と油を極限まで減らしている。また原料の調達と味付けは韓国にある協力工場に依頼しているが、商品開発は日本人スタッフが韓国の工場に赴き、日本人向けに味の最終調整を行っている。

15年に一度は韓国風もみのり商品から撤退した小善本店も、21年4月1日、再チャレンジとしてもみのり系の「のりカケルくん」シリーズ3品を発売。第1弾「のりカケルくん」シリーズが、年間売り上げ4億円に迫ると期待されるほど好調だ。

ほとんどの韓国風もみのり製品は、韓国で生産したものを輸入販売しているが、同製品は韓国産ののりを使用しつつも日本国内で生産している。のりが以前より採れなくなり、国産ののりは板のりにしか使えない状況だが、同社では「のりカケルくん」シリーズに国産ののりを使用することを目指しているという。

進化系ジャバンのりも復権の兆し

さらに、ここにきてまたジャバンのり系の新製品が目立ち始めている。以前の韓国の製法に近いジャバンのりと違い、"進化系"ともいえる新しい製法になっているものもある。その1つが、ニコニコのりが21年8月1日に発売した「熟成ジャバンのり 70gスタンダード」。

原料は名産地として知られる韓国の新安(しなん)産ののりを選別したもの。製法としてはジャバンのり系だが、最初に焙煎した後に5℃以下の低温熟成室で24時間以上寝かせて熟成させた後、比較的高温で2度目の焼き調理を行っている。24時間の低温熟成の工程により油がのりによくなじんでうまみが増し、低温と高温の2度焼きによって水分が適度に抜けて、絶妙な「ふわサク」感になるという。

韓国風もみのりはなぜ売れる

しかし、韓国風もみのりがなぜ今、次から次に売れるのか。白子 経営統括部・営業推進課の鷲山(わしやま)美幸氏は、「ヒット商品が出た後に同カテゴリー商品が一気に増えたことで、スーパーののりコーナーに新たにトッピング用ののりの棚ができた。それによってさらに認知が上がり、売り上げも上がった」と語る。

さらに、第2次~第3次の韓流ブームで韓国風もみのりが日本人に知られるようになったことが下地にあり、そこに新型コロナウイルス感染症拡大の影響で内食需要が高まって「自分流にカスタムしたい」「何か加えてひと味おいしくしたい」というニーズが強くなったことが関わっているのではと分析した。

ニコニコのり商品開発部の志(しい)智久氏は、新型コロナ拡大以降、お好み焼きやタコ焼きに使う青のりなどのトッピング用のり商品の売り上げが急拡大していることから、新たに料理を始める人が増え、より使い勝手のいい韓国風もみのりのニーズが生まれているのではと見る。また「コロナ禍で感染への不安から健康に対する意識が高まり、誰もが知っているのりの健康効果が再注目されているのでは。時短で目先を変えるためのトッピング食材はいろいろあるが、どうせなら健康にいいものをかけたいという気持ちから、選ばれているように思う」(志氏)とした。

小善本店の小林本部長は、韓国風もみのり製品に共通する、スタンディングタイプの容器もヒットの要因の1つと見ている。これは従来、袋入りだった板のりを食卓に置けるプラスチック容器入りにしたことで、のり業界全体の売り上げが大きく伸びた経験と共通しているという。「ご飯はもちろん、いろいろなものにトッピングできる韓国風もみのりが、スタンディングタイプで食卓に常に置かれていることも、消費量を拡大したのでは」(小善本店の小林本部長)

(ライター 桑原恵美子)

[日経クロストレンド 2021年10月25日の記事を再構成]

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