コカ・コーラがデザイン刷新 ロゴ強調「ゼロ」は黒に
コカ・コーラがコミュニケーションデザインを一新した。2021年9月13日に「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」「コカ・コーラ ゼロカフェイン」の3製品のパッケージをおよそ2年ぶりにリニューアル。「Real Magicキャンペーン」も開始し、グローバルなコミュニケーションデザインに関して、大きくかじを切った。
新しいパッケージデザインはスペンサーロゴと呼ばれる「Coca-Cola」のロゴをより大きく強調し、さらに「コカ・コーラ ゼロ」「コカ・コーラ ゼロカフェイン」は、スペンサーロゴを黒にしたデザインでオリジナル「コカ・コーラ」との違いを表している。
単にパッケージを変えただけではない。これはコカ・コーラブランドのグローバルなコミュニケーションデザインが大きくかじを切った、その変化の1つの表れにすぎない。21年9月23日の新しいテレビCMの全国放映を皮切りに、「Real Magicキャンペーン」を開始した。これは日本だけでなく、全世界共通で展開される。
「キャンペーンといっても、広告を数本打って終わりといった一過性で季節的なものや、商品自体の直接的なプロモーションとは性質が異なる。外向けには分かりやすくキャンペーンと言っているが、社内では『フィロソフィー』とか『プラットフォーム』と呼んで区別している」と日本コカ・コーラマーケティング本部コカ・コーラカテゴリー・クリエイティブ ストラテジスト&コンテンツ リードの山下広樹氏は説明する。
日常の中の最高の瞬間「Real Magic」
「これまでもコカ・コーラは、『Always Coca-Cola』など、シンプルな言葉でコカ・コーラのおいしさを伝えてきた。ひとときの潤いを与え、世界中のどんな人でも同じ味を楽しむことができ、同じコカ・コーラを一緒に味わうことで人と人とをつなぐ。それがコカ・コーラの力だ。新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)が原因で、世界中のいろいろな場所で分断が起きているが、ブランドとしてもっと役割を果たせるはずだという思いがあった」(山下氏)
そこで、「16年にスタートした『Taste the Feeling』に続く新たなフィロソフィーを、大きな発想で考えてきた」(山下氏)。その結果生まれたのが「Real Magic」だ。本来リアルとマジックは相反するもので、「現実的な魔法」は矛盾している。しかし「矛盾するもの、相反するものが世の中を豊かにし、前に進めることができる。そんな信念からReal Magicが生まれた」(山下氏)。何気ない日常の中にも、魔法のように最高な瞬間がある。それを伝えるのがReal Magicだ。
この新しいフィロソフィーの導入に伴い、コカ・コーラはビジュアルコミュニケーションシステムを一新した。パッケージや広告など、あらゆるコミュニケーションツールを規定した数百ページにわたるデザインマニュアルを策定した。その鍵となるのが新たにデザインした「ハグ・ロゴ(Hug logo)」だ。日常生活の一瞬や、コカ・コーラのある風景をロゴがハグする(抱きしめる)ことで、その一瞬一瞬がReal Magicだと伝える。
もともとのロゴを瓶や缶にプリントする場合、対象が円柱形なので左右に回り込むようにプリントされる。それがハグしているような形になるところから着想を得ている。缶製品はハグ・ロゴと調和するようにデザインされた。広告やテレビCMに使われているほか、Instagramで使用できる、回転するハグ・ロゴのAR(拡張現実)エフェクトも公開されている。これを使えば、誰でも自分のReal Magicな瞬間を楽しむことができる。
(デザインジャーナリスト/エディター 笹田克彦、画像提供 日本コカ・コーラ)
[日経クロストレンド 2021年10月26日の記事を再構成]
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