6Gを実現する新たな技術とは
だがそれだけ高度なネットワークを、現在の技術だけで実現するのは難しい。新たな技術を投入していく必要がある。例えば5Gよりも、いっそうの高速大容量通信を実現するには、多くのデータを一度に送る広い道幅、つまり周波数帯の幅が必要だ。そこで、5Gで使っているものより高い周波数帯、具体的には100ギガヘルツ(GHz、ギガは10億)以上の「テラヘルツ波」と呼ばれる帯域を使うことが検討されている。
だが、それだけ高い周波数だけに、その電波は障害物にとても弱く、遠くへ飛ばすのがいっそう難しくなるという問題を抱えている。そのため高い周波数を有効活用して、エリアを広げるためのさまざまな研究が進められている。その1つがNTTドコモが研究を進めている「置くだけアンテナ」だ。
これは「誘電体導波路」と呼ばれる電波を運ぶケーブルのような物体に、プラスチック片を置くことで、そこから電波が漏れて通信できるようにするというもの。高い周波数の電波は建物の壁でさえぎられてしまい屋内に電波を届けるのは難しいが、この技術を使えば、誘電体導波路をあらかじめ建物内に設置しておくことで、建物内の特定の場所を低コストでエリア化できるようになるという。

エリアをより広範囲に広げる拡張性を実現する研究開発も進められている。その1つが「高高度疑似衛星(HAPS)」という技術。これは地表から20キロメートル程度の成層圏を飛行して地上の携帯電話と直接通信する「空飛ぶ基地局」というべきものだ。
HAPSの実用化に向けた研究開発はNTTドコモとソフトバンクが積極的に取り組んでいる。実際に成層圏にフライトしての試験も実施している。NTTドコモは欧州エアバスやスカパーJSATなどと提携して実用化を急ぐ。ソフトバンクは以前共同でHAPSの研究開発を進めていた米Alphabet(アルファベット)の子会社から特許を取得し、HAPSの実用化に向けた開発を強化している。
