
2020年にサービスが始まった高速通信規格「5G」は、当初エリアが非常に狭く利用するのに苦労する状況だった。しかし21年には都市部であれば5Gを利用できる場所が大幅に増えた。各携帯通信事業者は今後、5Gのエリア拡大にいっそう力を入れようとしている。それに加えて、低価格の5G対応スマートフォンも続々登場している。22年はようやく5Gの利用が本格化することとなりそうだ。
世界で「6G」の研究開発が加速
その一方で、ここ最近携帯電話業界で耳にする機会が増えたのが次世代通信規格「6G」である。6Gは文字通り、5Gの次の世代となるモバイル通信規格。5Gがあまり普及していないにもかかわらず、世界各国でいま6Gに向けた研究開発が急加速している。
なぜ、6Gの研究が盛んになっているのか。それは5Gによってモバイル通信がコミュニケーションインフラから、都市や社会を支える基盤へと変化し、その重要性が大きく高まったためだ。次世代の6Gの技術開発で主導権を握れば、国家として世界での影響力を高められることから、各国の研究開発争いが激しくなっている。
実際日本でも20年に「Beyond 5G推進コンソーシアム」が立ち上がり、産官学共同で6Gに向けた研究開発を進めている。ただ5Gでさえ本格的な利活用が進んでいない中、6Gが5Gから「どのように進化するのか」「何を実現できるのか?」までは、想像できない人も多いだろう。
Beyond 5G推進コンソーシアムが示す「Beyond 5G」、すなわち6Gに求められる機能を見ると、6Gは5Gの特徴でもある「高速大容量通信」「低遅延」「多数同時接続」をさらに強化するようだ。実際、6Gの通信速度は5Gの10倍、遅延は5Gの10分の1、同時接続数は5Gの10倍を目指すとされている。
もう1つは新たな機能の追加だ。具体的には基地局などの消費電力が100分の1となる「超低消費電力」や、災害や障害から瞬時に復帰する「超安全・信頼性」、そして衛星などを用いて地上だけでなく空や海、宇宙なども通信エリアにする「拡張性」などが挙げられている。5Gとはネットワークのあり方が大きく変わろうとしていることが分かるだろう。
