日経PC21

周波数帯を環境で使い分ける

Wi-Fi 6対応ルーターは製品によって最大速度が異なる。最大速度は、パッケージや製品仕様などに記載されている。Wi-Fi 6は5ギガヘルツ(ギガは10億、GHz)帯と2.4GHz帯を利用できるため、それぞれの帯域に対応した最大速度が記載されている。高速なのは5GHz帯なので、その数値を重視したい(図10)。Wi-Fi 6対応パソコンのほとんどは、最大速度が2.4ギガビット/秒(Gbps)なので、それと同等以上の速度をうたうルーターを選びたい(図11)。

図10 Wi-Fiルーターを購入するときは、パッケージや仕様に記載されている最大速度を必ず確認する。Wi-Fiルーターの最大速度によっては、パソコンの性能を十分に生かせないこともある
図11 現状のWi-Fi 6対応パソコンのほぼすべてが、インテルのWi-Fi 6 AX201か同AX200を搭載する。最大速度は2.4Gbpsだ。Wi-Fiルーターを選ぶときはそれ以上の高速な製品を選びたい

Wi-Fi 6の速度で接続できるのは、この規格に対応したパソコンとルーターを組み合わせたときだけ。どちらかが非対応だと、古い規格の通信速度になってしまう(図12)。

図12 Wi-Fi 6の通信速度で接続できるのは、Wi-Fi 6対応のWi-Fiルーターとパソコンを接続したときのみ。どちらかが以前の規格でもネットには接続できるが、古い規格の通信速度となる

5GHzと2.4GHzの帯域はそれぞれ一長一短がある。5GHz帯はWi-Fi専用の周波数帯で、周囲の電波環境に左右されにくいうえ、高速で通信ができる。ただし、電波の直進性が高く遠方に届きにくい。

一方、2.4GHz帯は汎用周波数帯で、Wi-Fi以外のBluetoothやワイヤレスマウスといった機器もこの周波数帯を使う。そのため、周囲の電波状況の影響を受けやすいうえ、5GHz帯より通信速度が遅い。だが、電波が回り込みやすい特性を持ち、遠方まで届きやすい(図13)。2つの周波数帯域を使い分けるには、接続先を適宜変えるか、次回で紹介する「バンドステアリング」を活用する(図14)。

図13 5GHz帯はWi-Fi専用の周波数帯で、利用できるチャンネルが多く通信速度は速い。また、Wi-Fi以外の電波と干渉しにくい。その一方で電波の直進性が高く障害物に弱い、遠方だと電波が届きにくいという弱点もある。2.4GHz帯は5GHz帯と比べ利用できるチャンネルの範囲が狭く通信速度は遅い。周囲の通信環境に左右されやすいが、障害物に強く遠距離でも接続しやすい
図14 5GHz帯と2.4GHz帯は初期設定でSSIDが分かれており、接続先によって利用する周波数帯を選べる。速度を重視するなら5GHz帯を、遠方での接続性を求めるなら2.4GHz帯を選びたい

(ライター 田代祥吾)

[日経PC21 2021年11月号掲載記事を再構成]