桜井玲香 猫型香炉と間接照明はリラックス効果絶大
乃木坂46のキャプテンとしてグループをけん引してきた桜井玲香さん。2019年にグループを卒業して以降、本格的に俳優としての道を歩み始めた。初の主演映画『シノノメ色の週末』も全国公開中。そんな彼女は日々「お香」に癒やされているという。
お香は落ち着く時間を作ってくれる
「『ASTIER de VILLATTE(アスティエ・ド・ヴィラット)』というブランドが出している、雑貨全般のファンで、最近のお気に入りはお香です。ハマりだしたのは、21年に入ってから。それまでもルームフレグランスはしていましたが、短い時間でお香を楽しむようになりました。ハマったきっかけは『浄化したい!』と思ったから。新型コロナウイルス禍でずっと家にいたせいか、部屋の空気がよどんでいると感じたんです。そう思ったとき、浄化のハーブといわれている『ホワイトセージ』を使ってみました。全然煙たすぎないし『落ち着くな〜』って。
それからさまざまな種類のお香を買うようになりました。香りの種類もたくさんあるし、除湿効果を感じられるので、雨降りの日にすごく良いんです。朝起きてお香をたくのもいいですし、夜はお香をたいて間接照明だけつけて、ちょっとゆったりしてから眠りにつくとすごくリラックスできます。舞台の本番や撮影があった日は気持ちがたかぶって全然眠れないときがあります。そういったとき、お香は落ち着く時間を作ってくれる。効果は絶大です」
桜井さんには最近気になっているものがあるという。
「テレビ台が家になくて、今は床にじか置きなのでテレビボードを買おうかと思っています。2択に絞られていて、1つはお値段的にかわいくないもの(笑)。もう1つは、また次に欲しくなるかも、を見据えて価格が少し控えめなものです。両方ともウッド調で、木の質感が全然違うんです。すっごく悩ましいです。でも、8割方、お値段が高いほうに気持ちは行っています(笑)」
演じていて苦しい場面が何度もありました
穐山茉由監督自身の経験を基にした、青春映画『シノノメ色の週末』。本作で桜井さんは女子高を卒業して10年、モデルとして生計を立てる主役の美玲役を演じる。
「初主演はもちろんうれしかったです。でも、決まったときは、あまり状況をのみ込めていない感じもありました。『やった、主演だ!』みたいなテンションではなく、『頑張らなきゃ……』とどこかグッとかみ締めるような感じでした。撮影のときも主演ということをあまり意識せずに臨めましたが、こうしてさまざまな取材を受けているときに、自分が主演ということを強く実感するようになりました(笑)。
美玲はモデルの世界に憧れて芸能活動をしています。ところどころで心が折れそうになる姿には、共感する部分がありました。でもそういう嫉妬や挫折という感情は、社会に出たらどんな世界でも絶対に経験することだと思います。私自身、演じていて気付きたくないような苦しい場面が何度もありましたが、美玲を通してそんな部分を描くことができたので、見てくださる方にも共感できるところは多いんじゃないかなと思います」
共演したまりりん役の岡崎紗絵さん、そしてアンディ役を務めた三戸なつめさんの印象は?
「2人とはすごく仲良くなれて、そのおかげで等身大の演技をすることができました。お芝居ではあったけれど、どこか学生時代にタイムスリップしたかのような、気持ちにもなりました。
紗絵ちゃんは私より年齢が下なのに、3人の中でいちばんしっかりしていると思います。彼女が演じたまりりんは美玲とアンディが在籍していた放送クラブの部長で、紗絵ちゃん自身もどこかまりりん的なキャラクター。明るくて人懐っこくて、しっかり者です。映像作品の撮影経験も豊富なので、彼女の演技を見るだけで、勉強になったし、頼りにしていました。休憩中はひたすら美容と占いの話をしていました。3人とも大好きな話題なんですけど、紗絵ちゃんがリードしてくれました。
三戸ちゃんはこのメンバーの中で最年長です。すごくフランクに接してくれたので、一緒にいて楽しかったです。お菓子を一緒に食べながら3人で談笑した思い出もできたし、このメンバーで同じ作品を作ることができて本当に良かったと思いました。
女子高出身の女の子のなんでもない日常だったり会話が切り取られている作品なので、見る人はそんな部分を疑似体験できると思います。私自身も女子高出身で、細かいところがリアルに描かれていて、『こういう女の子いたな〜』という場面が随所にあります。ぶつかるようでぶつからない、微妙な女子同士の会話も『あるある』だと思います。そういうものがギュッと詰まっているので、女子高出身の方には共感してもらえると思いますし、そうではない方もきっと学生時代がフラッシュバックするんじゃないかなって」
「お仕事でやりたいこと100リスト」を書いた
19年に乃木坂46を卒業した桜井さん。俳優としてキャリアを重ねるうえで自分の中での意識も変わったという。
「『作品に触れる・舞台などの観劇に行く』は日常的にしていて、以前に比べると、人とたくさん話すようになりました。私の人生が波瀾万丈(はらんばんじょう)な何かを経験しているわけではありませんが、人生経験というのは幅広い演技をするためには欠かせないものだと思っています。自分で経験することも大事だけど、人の話を通して学ぶことも大切だなって。卒業してからは自分の視野を広げるためにも、お仕事で一緒になった人などに積極的に話しかけるようにしています。
たまに『達成できたらラッキー』くらいのライトな気持ちで、『お仕事でやりたいこと100リスト』を書いてみたりしています。グループに在籍していた頃は例えば、シングルの売り上げやライブ会場の規模など、数字というわかりやすい指標がありました。けれど、卒業してからは、あまり数字というものは関係ない……そういう意味では卒業してからは余裕を持って、私自身の目標と向き合うことができていると思います」
桜井さんは普段から買い物を楽しんでいるという。
「お洋服が大好きなので、クローゼットが大変なことになっています(笑)。あるとき、『フランス人は服を10着くらいしか持たない』みたいな話を聞いて、それに影響されて服を整理整頓しました。でも、結局買い足しちゃいましたね(笑)。服はいくらあっても良いと思うし、洋服を買うことは私のメンタルキープに必要なことなんです。好きなお洋服を着ると、気持ちも上がります。
最近はあまり買い物に行けていないんですが、セカンド写真集(19年発売の『視線』<光文社>)の撮影でアメリカに行ったとき、『もうすぐ乃木坂を卒業するし、これから頑張る』という意味を込めて、ティファニーのバングルを買いました。でも『大事すぎて無くせない!』と、しばらくつけられなかったんです。でもそれでは本末転倒だし、ようやく21年の夏からつけるようになりました。手元を見るたびに『かわいいな〜』と幸せを感じます。
初主演のご褒美ですか? それよりもテレビボードをどうするかですね(笑)。でも本当にお高いんですよ……。オーダーメードなので、注文によっても変わってくるんですけど、私の要望だと40万円いかないくらい……。もうちょっと冷静に悩みますが、やっぱり8割方気持ちはそっちに傾いているかな〜。
『シノノメ色の週末』
穐山茉由監督のオリジナル脚本による青春映画。ある日、モデルとしての仕事が行きづまっている美玲(桜井玲香)は、学生時代に同じ放送クラブだったアンディ(三戸なつめ)から連絡を受ける。それは、取り壊しが間近の母校に集まり、まりりん(岡崎紗絵)と一緒にタイムカプセルを探そうというものだった。けれど、タイムカプセルは見つからず……。
監督・脚本:穐山茉由 音楽:岡出莉菜 主題歌:佐藤ミキ『東雲の空』 出演:桜井玲香、岡崎紗絵、三戸なつめ、中井友望、山田キヌヲ、工藤阿須加 全国ロードショー中
(文 中山洋平、写真 藤本和史)
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