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キヤノンが作ったスピーカー、空間を彩る照明も魅力

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日経クロストレンド

キヤノンの「albos Light&Speaker(アルボス ライト&スピーカー)」は、Bluetooth接続のワイヤレススピーカーと、可動式のスポットライトが合体した1台2役の製品だ。国内販売するものとしてはキヤノン初のオーディオ製品となる。アルミ削り出しによる質感の高いデザインが特徴で、音楽を聴きながら間接照明でリラックスしたり、読書灯として利用したりできるなど、自宅の空間を演出するアイテムとして活用できる。

キヤノン電子が新たに展開する製品ブランド「albos」の第1弾製品で、販売はキヤノンマーケティングジャパンが行う。2022年5月にクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」で先行販売を行い、22年12月に一般販売を開始した。実勢価格は4万4990円(税込み)となっている。本当に空間を演出したりリラックスさせてくれたりするのか、実際に試してみた。

ライト&スピーカーは、円筒型のスピーカーとそこから伸びたアームの先端に付いているLED(発光ダイオード)ライトで構成されている。特徴の1つは、アルミを削り出したボディーのデザインだ。本体色はシルバーとブラックの2色で、試したのはシルバーのモデル。シンプルなフォルムと、アルミの質感やうっすらと見えるヘアラインとがマッチして高級感が漂う。何気なくテーブルの上に置くだけで、ちょっとおしゃれな雰囲気が出る。

重さは約1.6キロで手に持つとずっしりと重く、テーブルの上に置いたときに安定感がある。スピーカーの台座裏側には樹脂製の脚が付いていて、スピーカーを回転させたりアームを動かしたりしても、つられて動いたりしない。スピーカーやアームの動きはスムーズで、動かしていて気持ちがいい。動きに対して適度なトルクがあり、止めたい場所できちんと止まるのも優れている点だ。設計や加工には、ドキュメントスキャナーやカメラ用シャッターなどを開発・製造しているキヤノン電子の技術が生かされていて、各パーツの仕上げやかみ合わせに精密さが感じられる。

仕事中にもちょうどいい硬質でクリアーな音

スピーカーは台座上で360度回転する。上向きの口径50ミリのフルレンジスピーカーを備え、下向きに低音を強調するパッシブラジエーターが付いている。出力は10ワットで、360度周囲全体に向けて音が流れる。

Bluetooth5.0対応のワイヤレススピーカーで、対応コーデックはSBCのみだ。ワイヤレスのスピーカーやイヤホンによくあるメーカー独自の専用アプリはなく、一般的なBluetooth機器としてスマホとペアリングして使う。操作はスマホか本体前面のボタンで行う。

電源用の端子はUSB Type-Cで、充電用のUSBケーブルが付属する。ACアダプターは付属しないが、スマホの充電などに使われる5V・2Aタイプのものを使用できる。バッテリー内蔵でバッテリー駆動も可能だ。

様々な音源を聴いてみると、金属ボディーのためか硬質ですっきりとした印象のクリアーな音だ。音の立ち上がりが鋭く感じられ、例えばピアノの打鍵する瞬間の音や、シンバルのレガート音などがよく聞こえてくる。低音の押し出しはそれほど強くないが、音程感がはっきりしていて聞き取りやすい。高音域から低音域までバランスがよく、部屋に置いて読書中や仕事中に音楽を流すスピーカーとして使いやすいと感じた。

気になったのは、対応コーデックがSBCのみなこと。クリアーで細かい部分まで聞き取りやすい音をしているだけに、AACやaptX、LDACといった高音質コーデックにも対応してほしいところだ。

仕事の照明から間接照明に早変わり

もう一つの特徴は、可動式アームを備えたLEDスポットライトであること。ライト部分も回転するので、台座の回転と合わせて、本体を移動させずに周囲のどこでも照らせるのが便利だ。

ライトは、前面のボタンを押して操作する。この部分のボタンは1つだけで、デザインは非常にすっきりしている。色温度は電球色に近い暖色(3450K)と白色(6450K)の2通り、明るさはそれぞれ弱・中・強の3段階で、計6通りの組み合わせになる。この組み合わせを、ボタンを押して切り替える。例えば、暗い温白色から明るい昼光色に切り替える場合はボタンを5回押すなど、ボタンを何度も押さなければならないのは少々面倒だ。

白色の強にするとかなり明るく、仕事で使うデスクライトとして使えるレベルだ。弱にしても明るめに感じられる。温かみのある暖色にすると、読書やリラックスしたいときの明かりという雰囲気になる。アームとライト部分を動かすことで、本体を机の上に置いたまま移動させずに光を壁や下に向けて、間接照明にすることができる。仕事で使うライトからリラックスするための明かりへと、簡単に切り替えられる。使ってみるとこれはなかなか快適で、この製品の魅力といえる。

ライト&スピーカーは、アームや台座など各部が可動することで置き場所や使い方を選ばない、使い勝手のよい照明機器になっている。ワイヤレススピーカーとしてもクリアーで聴きやすい音をしている。サイドテーブル、仕事用の机、ベッドサイドなど、どこに置いても便利に使えるだろう。価格は高いが、デザインや質感の高さも魅力に感じた。

少し気になったのは、スピーカーの操作と照明の操作とがばらばらなところだ。音楽の再生・停止やボリューム調節といった操作はスマホでも本体でもできる。しかし照明の操作は本体のボタンでしかできない。例えば専用アプリを用意してスピーカーの操作も照明の操作もスマホでまとめてできるようになれば、さらに使いやすくなりそうだ。

(ライター 湯浅英夫、写真 スタジオキャスパー)

[日経クロストレンド 2023年1月27日の記事を再構成]

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