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異業種への転職が増えています。リクルートエージェントが転職決定者の分析を行ったところ、2009年度に24.2%だった「異業種×異職種」転職の割合は、20年度は36.1%まで上昇しました。「異業種×同職種」も合わせると69.9%で、実に全体の約7割を異業種転職が占めているのです。

経営者JPでもこれまで非常に多くの異業種転職を支援してきました。その中で、転職者のみなさんがどのような経験や感覚、あるいは自身の有形・無形の資産をお持ちだと異業種転職で成功できるのか。転職先企業や業界と、どのような接合点を持っていると異業種でもうまくいくのかについて、実例を積み重ねてきています。分析の結果明らかになった、異業種に転職する際にチェックすべきポイントは次の5つです。

①現職と同じ営業先・販売先か ②ユーザー・クライアント感覚を持てるか ③取扱額・単価 ④納期・スピード感 ⑤人脈

どういうことか、それぞれ詳しく解説しましょう。

①現職と同じ営業先・販売先の企業を選べ

営業職やマーケティング職、商品企画職などの求人で、採用企業が求める人材像として「量販店・ドラッグストア向けの営業経験をお持ちのかた」「CVS(コンビニエンスストア)向けの商品企画ご経験をお持ちのかた」「通販型ビジネスでのマーケティングご経験をお持ちのかた」といったような要件を目にすることがあるのではないでしょうか。

こうした求人でも、もし転職前と後で営業チャネルが同じであればスムーズにキャッチアップできますし、前職までの経験で成果を出しやすい面があります。例えば、もともと食品を扱っていた方が、転職後に生活雑貨や日用品を取り扱うようになっても、営業チャネルさえ同じであれば、会社が変わっても業務フローはさほど変わらないでしょうし、業績を上げるための「勝負所」についても基本的に同じですよね。

BtoB(企業間取引)でも事情は同じです。中小企業向けのセールス・マーケティングに従事してきたのか、大手企業相手のエンタープライズセールスに関わってきたのかで、業務パターンや勘所は大きく異なりますが、逆にそれぞれに対して扱うソリューションが会社が変わって異なっても違和感なくキャッチアップ・活躍できることが多いですね。クラウド経由でソフトを提供するSaaS(サース)系や、様々な技術やアイデアと自社事業を掛け合わせるX-Tech(クロステック)スタートアップでは、レガシーなIT企業も交えて、中小企業向け経験者、エンタープライズ経験者、それぞれでの異業種間人材の争奪戦となっています。

②顧客としての実感、感覚を持てる企業を選べ

ここで1つ、質問です。あなたは転職を希望する企業からみて、ユーザーやクライアントになる企業に在籍していたことがあるでしょうか。

もちろん、在籍していなければダメということはありません。ただ、転職希望先からみて取引関係にある立ち位置の経験をお持ちだと、ユーザーやクライアントの気持ちや本音が素で分かります。この感覚は非常に重要です。

私で言えば、長らく、その時々の所属企業において採用や人事の責任者も兼ねてきました。そうしますと、人材エージェントからの提案や連絡、あるいは人事関連での各種の営業や導入後のやり取りを管轄することになります。いわゆるクライアントサイドの本音として、「おいおい、こんな提案、勘弁してくれよ」「このサポートは素晴らしいな」などと、毎度、内部でレビューしているわけです。

これが非常に大事で、自社が提供側に回る本業において、クライアントはこんな風にして欲しいものだ、こんなやり方だと頭にくる、という感覚を常に持ちながら、より良いサービス提供ができるようにと動けるのです。この感覚を持っているか、持たずにやっているかの差は、かなり大きいという実感があります。

BtoC(消費者向け)であれば、より一般的に、転職応募先企業が取り扱う商品やサービスを購入したり使ったりする立場にいたことがあるケースは多いでしょう。ひとりよがりの感覚だけではだめですが、厳しい消費者の立場で商品やサービスを愛用できていたのか、あるいは改善点を思い浮かべることができたのかという点は、転職後の業務で生きることが想像以上に多いものです。

商品やサービス力のアップ、さらには事業強化のために、顧客の立場に立てることは非常に重要となっています。無理なく「顧客の肌感」を持って業務に当たれることは、あなたの新天地着任後の業務においての提案力を後押ししてくれるでしょう。

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