ピザは、もちもち感の強い印象があるが、全体的には軽い。九州に「ピッツェリア・ダ・ガエターノ」(福岡市)というイタリア発祥のピザの繁盛店があるのだが、ここのピザは本当に軽く、飲んだ帰りでも一人で1枚食べられるほど。「ミア・ボッカ」のピザもそれに迫る食べやすさだ。一般的なナポリピザなどはもっちり感に味わいがあるが、ともするともさもさ感となり、飲み込むのにちょっと引っかかる。「ミア・ボッカ」はそうしたもさもさ感が全くなく、「するすると喉を通る」ふわふわで軽い「飲めるピザ」。店の研究と技術もあると思うが、これが北海道小麦の実力なんだろう。北海道おそるべし。

スタッフに聞くと、商業施設内ながら店の中に高温で焼くことができるピザ窯を導入することで短時間にパリッとした感触を作れるという。さすがに本場のような薪を使った薪釜ではないそうだが。

「『下川六◯酵素卵』の濃厚カルボナーラ」(1480円)

カルボナーラの卵も北海道の養鶏場産

これはパスタもいかざるを得ない。おなかが出て、胴囲が90センチを超えようともやらなくてはいけないことはやるのだ。注文したのは、「『下川六◯酵素卵』の濃厚カルボナーラ」(1480円)。下川六◯酵素卵とは、北海道にある養鶏場で、そこで独特の餌を食べさせた、滋味のある卵とのこと。

カルボナーラは、良質なベーコンから出るうま味と良質な卵、そして店によって違いはあるが、生クリームとチーズの使い方がポイントだと思っている。麺はイタリア産を使っているとのこと。

食べてみると、満足できる水準。ピザを食べた時にも感じたが、全体に上品なのだ。ベーコンもチーズもあまり主張せず、かといってそっけなくない。もう少しお安い店だと、妙に塩気が強かったり、カルボナーラにかけるブラックペッパーが強かったり、ある意味、味をごまかしているところが少なくないと思っているのだが、そうしたジャンク臭は感じられない。素材の力をうまく引き出せている。

「北海道産塩水ウニの冷製スパゲティ」(1749円)

健康と美容に気を使うマダムが多く店を訪れているのも、よく分かる。ランチ時間帯には、サラダ、パスタ、ピザを1品ずつとフォカッチャ、ドリンクが付く2人用の「ランチアモーレコース」(3300円)も提供しており、使い勝手が良い。1人当たり予算は、昼が2000円、夜が4000円強というところか。人気が出るのも納得がいく。

さらに季節感を強く打ち出しているのも面白い。夏場は「塩水ウニ」を使った冷製スパゲティが人気だという。塩水ウニとは、獲れたウニを塩水に浸したままで流通している商品。ウニは通常、ミョウバンで洗うことで劣化を防ぎ、それがよく見る箱ウニになっているが、塩水ウニはそれとは違った味わいがあるとされている。

現在は、サンマがテーマ。今年は漁獲量が少なく、太り方も今ひとつと言われるが、サンマを丸ごと1尾使ったパスタを投入しており、思い切りを感じる。

「北海道産秋刀魚を丸ごと一本使った贅沢(ぜいたく)スパゲティタプナードソース」(1580円)
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塩水ウニやシカ肉など季節商品も