Men's Fashion

冬のコーデ、「一点彩色」で重さ解消 上質素材がカギ

プロのコーデ

Euphonica店主 井本征志さん

2023.2.6

Euphonica店主の井本征志さん

日照時間が短く、寒さが厳しく感じられる今の時期。街中でも、黒などの暗い色で装う人が目立つ。とはいえ、ネイビーや黒といった無難で着回しがきくアイテムを中心としたコーディネートは、結果的に“重たい”感じになりがち。おしゃれで大人っぽいコーデを完成するには、どんな色をどのように取り入れればいいのだろうか。今、手に入れておきたい一着とは? 色味に特徴のある“色物”を生かす着こなしについて、横浜市都筑区にあるEuphonica(ユーフォニカ)の店主、井本征志さんに聞いた。




気になる色を素直に着る 計算しすぎないコーデ

――普段から色物を着るのですか?

「よく着ています。といっても若い頃に黒い服ばかりを着ていた反動で、何かを計算して取り入れて、ということはあまりないですね(笑)。ただ、ダークトーンの服ばかりだと暗い印象を与えがちなのは事実です。色もののアイテムがあると着こなしの幅が広がるとも思います」

――まず手に入れておくべき色はなんですか?

「正直に言うと、正解はありません。世間ではパーソナルカラー診断や骨格診断といった情報があふれていますが、持論としては人がとやかく言うことではないと思うんです(笑)。もちろん一つの目安にするのはいいですが、全員が従う必要はない。その時々で自分がいいと思った色を着ればいいと思いますね」

「色物の服を選ぶ基準は、例えば『春だからパステルカラーを着たい』『秋だから枯れ葉のようなブラウンが気になる』とか、そういったことでいいと思います。似合うかどうかは、着てみてご自身の感覚で判断すればいいですから」

――お気に入りのアイテムはありますか?

「最近は紫のセーターですね。ネイビーやグレーなど、大体の色と相性がいいんですよ」

――セーターにも、ハイゲージ(編み目の細かいもの)やローゲージ(編み目の粗いもの)など、色々な種類があります。特におすすめはありますか?

「今、手に入れるならハイゲージでシルク素材のものですね。温度調節にちょうどいいアイテムで、寒い日に着ると適度に暖かくて、暖かい日に着るとひんやりとして心地いいんです。実は機能的な素材なので、春先ぐらいまで着用できますよ」

――ほかにおすすめのアイテムは?

「変化球ですが、コートで色物を取り入れてもいいと思うんです。例えば上品なグリーンのPコート。冬は暗い色の服を手にしがちなので、2着目や3着目に、アクセントとして手に入れておくと便利ですよ」

大人の冬服 “かっこよすぎる”のは…

――色物のアイテムを取り入れるとき、特に意識することは?

「黒のアウターと合わせる際には気をつけますね。というのも、色もののアイテムをインナーにしたときに、色のコントラストが強くなりすぎてしまうんです。その場合は黒を使った柄のマフラーを巻くなどして、バランスをとるようにします」

――色のコントラストが強いのは駄目なんですか?

「例えば、紫や赤のセーターの場合、なんだかドラキュラや夜の蝶(ちょう)みたいな見え方になるんです。もちろんそれが100%駄目だとは思いません。ただ、僕としては“かっこよすぎる”と思ってしまいます。『おしゃれしよう』という気持ちが透けているような気がして、少し照れくさいじゃないですか(笑)。それよりも地に足がついた感じの着こなしの方が好みですね」

  • 紫のセーターの上に黒のジャケットを羽織った様子。色物のインナーの存在感が際立っている

  • 同じ紫のセーターにネイビーのアウターを羽織った様子。黒ジャケットと合わせた時より彩度の差が小さくなり、色同士がなじんでいる

――他にコーディネート全体で気をつけていることはありますか?

「生地や服の状態にはこだわるようにしています。僕は今40代ですが、肌のハリやツヤが少なくなって、髪もパサパサになって……。つまり加齢とともに自然と清潔感が失われていくんです(笑)。そうなってくると、例えば古着のジーンズは似合わなくなるんです。僕も服もエイジングされた状態ですから(笑)。そういった意味で、大人の男性は“ちゃんとしすぎ”くらいの、いい素材を選んだ方がいいと思います」