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ダンス界を盛り上げたいという熱い思い

審査員の皆さんも熱かったですね。素晴らしいパフォーマンスが出ると、お客さんと一緒になって立ち上がって拳を突き上げていました。コメントにも個性が表れていて、TAKAHIROさんはたくさん振り付けをされているから、構成で優れている点を評価するのと同時に、改善できる点も分かりやすく伝えてくれました。kazuki(s**t kingz)さんはご自身が優れたダンサーなので、技に対するコメントが的確で、表現に昇華できているところはとてもほめるし、逆に技だけで終わっていると、もうひとひねり欲しかったねといった指摘もありました。

MCの井上芳雄と進行の水卜麻美アナウンサー。『THE DANCE DAY』はHuluで好評配信中。(C)NTV

皆さんに共通していたのは、ダンス界を盛り上げたいという思い。ダンサーが置かれている状況は恵まれているとはいえなくて、まだまだ納得できる水準ではないことを身をもって知っているから、その現状を『THE DANCE DAY』をきっかけに変えたい、よくしていきたいという思いが伝わってきました。「こんな大会を開いてくれて、ありがとうございます」と口をそろえて言われていました。

YOSHIKIさんは、ダンスを見ることで勇気をもらって、すごく励まされた、とずっとおっしゃっていました。その言葉は、今回の16組のパフォーマンスがどれほど素晴らしかったかの証明だと思います。

MCをするにあたっては、僕はダンスの専門家ではないけど、ミュージカル俳優なので演じる人の気持ちはよく分かります。なので、皆さんが気持ちよくパフォーマンスできるようにとだけ考えて臨みました。あとは、審査員の方の声をよく聞きつつ、生放送なので時間がうまく収まるように進行しなければと。実際に始まったら、自然とテンションが上がり、こんなに高い声で絶叫し続けたことはないかもというぐらい気持ちが入りました。1組1組の熱意や本気度が伝わってくるので、応援したいし、どういう気持ちで演じたのか聞きたいと、共感しながらMCをやっていました。

それで気づいたことの一つは、パフォーマーにとっては出る順番が大事だということ。くじを引いたのは僕で、箱の中に番号が書かれたボールが入っていて、それをランダムに取って順番を決めました。やっぱり1番目のチームは、審査員の方も様子見というか、最初から満点は出しにくいので、そこはどうしてもハンデになるだろうし、後半の方が印象に残りやすかったり、前のチームがどんなパフォーマンスかというのも影響するでしょう。だから、自分がくじを引いておいておこがましいのですが、大げさに言うと、何か見えない力が働いて、順番もドラマを生む要素になっているのかもしれないと感じました。 

もう一つは、テレビ番組なので、映像で正面から撮ったときにどう見えるかが大事だということ。MCをしていると舞台の横から見るのですが、映像で正面から見る印象とはだいぶ違います。優勝したKUROKOさんもそうでしたが、映像にどう映るかを考えた人たちが強かったと思いました。プロデューサーの方が言うには、チームは20人以内ですが、あまり大勢だと映像で追い切れないそうです。それぞれが違う動きをしている瞬間があったとしても、引いたら個々がよく見えないし、寄ったら逆にばらばらなことが分からない。そういった映像での見え方も、今後は重要なポイントになってきそうです。

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ミュージカルの稽古場でも大きな反響