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ダンス日本一決定戦 生きている力を実感(井上芳雄)

第116回

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。5月18日にダンス日本一を決めるテレビ番組『THE DANCE DAY』(日本テレビ系)の決勝大会が幕張メッセで開かれました。3時間の生放送で、進行の水卜麻美アナウンサーと一緒に、僕はMCを務めました。16組が繰り広げるいろんなジャンルのパフォーマンスはどれも素晴らしく、生命力あふれるダンスに圧倒されました。

『THE DANCE DAY』はヒップホップ、ブレイキン、ジャズ、社交ダンスなどオールジャンルでのダンス日本一を決める大会。審査基準はひとつだけ、「ただ、楽しませた人の勝ち」。参加資格はプロ・アマ問わず、ソロでもチーム(20人以内)でも可。総エントリー976チームから選ばれた総勢16組が集結して、それぞれ1分30秒のパフォーマンスを披露しました。審査員はkazuki(s**t kingz)さん、KENZO(DA PUMP)さん、倖田來未さん、SKY-HIさん、TAKAHIROさん、仲宗根梨乃さん、そして特別審査員にYOSHIKIさん。1人100点満点でジャッジして、総得点上位5チームがファイナルラウンドに進出。審査員それぞれが優勝と思う1組に投票して、その票数で優勝者が決まります。優勝賞金は1000万円です。

観客席は1席おきで、1000人くらいが入っていたでしょうか。とにかく印象に残ったのが大歓声でした。コロナ禍に入って、笑い声や拍手はありましたが、大きな声を聞くことはなかったので、3年ぶりくらいです。自分たち演者は、声によってすごくのせられたり、テンションを上げてもらったりしていたんだな、ということを思い出しました。

お客さんは最初からハイテンションで、3時間も持つのかなと思ったのですが、演者がすごいパフォーマンスを見せると総立ちになったりして、どんどんボルテージが上がり、最後まで会場全体が盛り上がりました。お客さんの反応を見ていると、このグループは上位に行きそうだというのがはっきり分かりました。僕も水卜アナウンサーも3時間一切座ることなく、ずっと「すごいですね」と言いながらダンスに見入っていました。

オールジャンルからのエントリーなので16組のダンスはそれぞれ違っています。僕が若い頃に習っていたダンスはジャズやバレエでしたが、今はジャンルがどんどん細分化されて、ヒップホップとも言えないし何というジャンルなのかなという感じのものも多かったです。テクニックにしても、ヘッドスピンとか頭で回る人たちも見事な技術でした。YOSHIKIさんが「日本のダンスのレベルがこれほど高いとは思わなかった。いつの間にか世界の水準になっている」と驚いていましたが、本当にその通りだと思います。

優勝した「KUROKO」のダンスはアニメーションダンスというらしく、それこそアニメのような動きをします。リーダーのGENDAIさんは、ニューヨークにあるアポロシアターの年間王者。『THE DANCE DAY』のためにKUROKOを結成したそうです。披露してくれた2つのパフォーマンスのテーマは「引っ越し」と「サラリーマン」。それぞれ家の中だったり、会社で働いているところだったりの日常の一コマをCGの映像のように見せてくれて、何か夢を見ているみたいでした。ダンサーとしての技術はもちろん、それを見せる構成力が卓越しています。日本語の歌のメッセージも伝わってきて、すべてのバランスが飛び抜けていました。終わった後で、KENZO(DA PUMP)さんが「GENDAI君は世界で活躍してチャンピオンとなって日本に帰ってきても、なかなか注目されなかったけど、やっと評価されたのがうれしい」と泣きながら喜んでいたのにもじんときました。

次点の「K fam」は、KAORIaliveさんが振り付けをされたグループ。KAORIaliveさんはミュージカルも振り付けられていて、踊りにはジャズやバレエのような要素があり、大人数で踊って迫力があるので、僕がやっているジャンルに近いものを感じました。2つのパフォーマンスのテーマは「人類の叫び」と「コロナ収束への願い」。平和への祈りにしてもコロナ禍にしても、ストレートなメッセージをエンタテインメントにしているのが素晴らしかった。審査基準である「楽しませる」というと、笑いや高揚感のようなものをイメージしやすいでしょうが、ハッとさせられたり鳥肌が立つようなものも、楽しませるに入ると思うのです。ダンスは陽の部分だけじゃなくて、陰の部分やメッセージも伝えることができるということを体現された表現だったと思います。

僕が好きだったのは「青春応援団 我無沙羅(がむしゃら)」というグループで、やはりファイナルラウンドに進出しました。高校の体育祭「応援合戦」メンバーを中心に、サラリーマンや公務員の方々が、誰かを応援したいという思いで結成したそうです。励ましの言葉を叫びながらパフォーマンスをするのですが、その必死の表情に嘘がなくて、泣いているお客さんが一番多かったのではないでしょうか。会場の反応がすごかったです。

ダンス界を盛り上げたいという熱い思い

審査員の皆さんも熱かったですね。素晴らしいパフォーマンスが出ると、お客さんと一緒になって立ち上がって拳を突き上げていました。コメントにも個性が表れていて、TAKAHIROさんはたくさん振り付けをされているから、構成で優れている点を評価するのと同時に、改善できる点も分かりやすく伝えてくれました。kazuki(s**t kingz)さんはご自身が優れたダンサーなので、技に対するコメントが的確で、表現に昇華できているところはとてもほめるし、逆に技だけで終わっていると、もうひとひねり欲しかったねといった指摘もありました。

皆さんに共通していたのは、ダンス界を盛り上げたいという思い。ダンサーが置かれている状況は恵まれているとはいえなくて、まだまだ納得できる水準ではないことを身をもって知っているから、その現状を『THE DANCE DAY』をきっかけに変えたい、よくしていきたいという思いが伝わってきました。「こんな大会を開いてくれて、ありがとうございます」と口をそろえて言われていました。

YOSHIKIさんは、ダンスを見ることで勇気をもらって、すごく励まされた、とずっとおっしゃっていました。その言葉は、今回の16組のパフォーマンスがどれほど素晴らしかったかの証明だと思います。

MCをするにあたっては、僕はダンスの専門家ではないけど、ミュージカル俳優なので演じる人の気持ちはよく分かります。なので、皆さんが気持ちよくパフォーマンスできるようにとだけ考えて臨みました。あとは、審査員の方の声をよく聞きつつ、生放送なので時間がうまく収まるように進行しなければと。実際に始まったら、自然とテンションが上がり、こんなに高い声で絶叫し続けたことはないかもというぐらい気持ちが入りました。1組1組の熱意や本気度が伝わってくるので、応援したいし、どういう気持ちで演じたのか聞きたいと、共感しながらMCをやっていました。

それで気づいたことの一つは、パフォーマーにとっては出る順番が大事だということ。くじを引いたのは僕で、箱の中に番号が書かれたボールが入っていて、それをランダムに取って順番を決めました。やっぱり1番目のチームは、審査員の方も様子見というか、最初から満点は出しにくいので、そこはどうしてもハンデになるだろうし、後半の方が印象に残りやすかったり、前のチームがどんなパフォーマンスかというのも影響するでしょう。だから、自分がくじを引いておいておこがましいのですが、大げさに言うと、何か見えない力が働いて、順番もドラマを生む要素になっているのかもしれないと感じました。 

もう一つは、テレビ番組なので、映像で正面から撮ったときにどう見えるかが大事だということ。MCをしていると舞台の横から見るのですが、映像で正面から見る印象とはだいぶ違います。優勝したKUROKOさんもそうでしたが、映像にどう映るかを考えた人たちが強かったと思いました。プロデューサーの方が言うには、チームは20人以内ですが、あまり大勢だと映像で追い切れないそうです。それぞれが違う動きをしている瞬間があったとしても、引いたら個々がよく見えないし、寄ったら逆にばらばらなことが分からない。そういった映像での見え方も、今後は重要なポイントになってきそうです。

ミュージカルの稽古場でも大きな反響

ゴールデンタイムで3時間の生放送だったので、僕の周りでも反響が大きかったです。次の日、6月9日から帝国劇場で開幕するミュージカル『ガイズ&ドールズ』の稽古場に行ったら、カンパニーのみんなから「見ました」とか「涙が出てしようがなかった」と言われて、「僕もエントリーしたんですよ」という方もいました。ダンスが好きな人やかかわっている人が多いことを実感したし、何よりたくさんの人に楽しんでもらえたのはMCとしてもうれしいことでした。

ダンスが素晴らしいのは、自分たちが生きていることを実感できるからだと思います。もちろん歌やお芝居もそうですけど、躍動感という点ではダンスに勝るものはなくて、明るいものでも暗いものでも生命の力が伝わってきます。身体表現だけなので、言葉がない強さもあります。歌やお芝居は言葉の芸術でもあるのですが、ダンスには言葉を超える表現の可能性があって、そこは理屈じゃなくて本能的なものなので、強いなと思いました。

番組の最後では、「次回またお会いしましょう」と言いました。本当に次回がまたあってほしいし、ぜひまたかかわりたいですね。僕がこれからすごいパフォーマンスでダンス界に貢献するのは難しいでしょうが、同じ表現者として、今回のようにサポートしたり、盛り上げたりという立場でもお役に立てたらうれしいです。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第117回は6月18日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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