星付きシェフ監修の肉団子がある町中華 東京・新宿

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2022/11/21
看板料理「伯爵の肉団子」

肉団子というのは、不思議な料理だ。世界各国であらゆる料理に使われ、老若男女どの層からも愛されているのに、ギョーザやシュウマイのように専門店がなく、マニアもいない。そんな不遇な肉団子にスポットライトをあてた店「伯爵(はくしゃく)の肉団子 新宿御苑店」(以下、「伯爵の肉団子」)が2021年9月1日、新宿御苑にオープンした。

新宿御苑前駅から新宿方面に徒歩1分のところにある「伯爵の肉団子」。白地に赤字の目立つ看板とのれん、そしてインパクトのある店名が人目を引く。

店内は、オープンエアの屋台をイメージさせるカジュアルで開放的な空間。カウンター上部のトタン屋根がさらに、そんな雰囲気を盛り上げている。

中央のカウンターを囲むように、テーブル席がある。壁の上部には料理札が並び、昔ながらの町中華の雰囲気も。カルタをイメージした装飾も楽しい。

この店が誕生したきっかけは、複数の居酒屋を運営しているこの店のオーナーが、「私厨房 勇」(港区・白金台)で原勇太シェフの料理を食べ、その味に感動したこと。

「私厨房 勇」の料理はおまかせコースのみだが、「もっと多くの人に原さんの料理を味わってほしい」と考え、原さんに協力を依頼。その思いに賛同した原さんが、メニュー開発と調理指導に協力をしてくれたという。

原さんは、広東料理の名店として知られる「文菜華」(千葉・柏、※現在、店舗改装中)オーナーシェフの渡辺展久氏に師事し、港区白金に香港の私房菜(プライベートレストランの意味)をコンセプトとした「私厨房 勇」をオープン。『ミシュランガイド東京2019』で一つ星を獲得している。

「伯爵の肉団子」という店名は、伯爵も食べたくなるようなスペシャルな肉団子が食べられる店をイメージして命名。

店長の芳村拓人(ひろと)さんは、「ホテルニューオータニ」の和食部門出身。その後、和食系の居酒屋で腕をふるっていたが、中国料理の経験はゼロ。出店が決まってからは週2回のペースで原さんの店に通ってレシピを学んだ。レシピ通りに作って食べてもらい、味を修正していくという特訓を受けたという。

肉団子を看板料理にしたのは、肉団子の専門店がまだないことや、他の料理と組み合わせてアレンジがきくことが主な理由。さらに「肉団子は家庭でも簡単に作れる料理です。だからこそ、一流シェフが作る本格的な肉団子の味を知らない人が多い。それを気軽に食べられる居酒屋料理に落とし込んで提供したら、きっと多くの人に喜ばれると思いました」(芳村さん)。

原さんがレシピ考案をしたというスペシャルな肉団子を、さっそく注文してみる。

サンショウがたっぷりで辛みとうま味のバランスがいい「自家製旨味よだれやっこ」

「伯爵の肉団子」を待つ間に、「自家製旨味よだれやっこ」を注文。このボリュームで390円。辛みとうま味のバランスがいいよだれ鶏風ソース、くちびるがしびれそうなほどたっぷりトッピングしたサンショウ。これだけで生ビール1杯が軽く消えてしまう。