ソニー・ピクチャーズがマーベルとスパイダーマンを共同製作することでアベンジャーズのメンバーとの共演が可能となり、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)でスパイダーマンが初お披露目された。続く『スパイダーマン:ホームカミング』(17年)では「ピーターはトニー・スターク(アイアンマン)にあこがれ、アベンジャーズの一員になることを夢見ている」という設定が加味され、アイアンマンも登場した。そして、新作『ノー・ウェイ・ホーム』にはアベンジャーズのメンバーであるドクター・ストレンジが登場する。

前作『ファー・フロム・ホーム』でホログラム技術を操る悪役ミステリオを倒したピーターだが、ミステリオの残した映像をネットニュースの「デイリー・ビューグル」が世界に公開。ミステリオ殺害の容疑がかけられるとともに、ピーターがスパイダーマンであることが明かされる。マスコミは騒ぎ立て、ピーターの生活は一変。恋人MJや親友ネッドの生活も変えることになってしまう。ピーターはドクター・ストレンジの元を訪れ、自分がスパイダーマンだと知られていない世界に変えてほしいと頼む。

スパイダーマンの恋人MJ(左)を演じるゼンデイヤはディズニーチャンネルのドラマで主演を務め、注目される。現在はファッション界でも活躍している

しかし、ストレンジが呪文を唱えると、本来の魔術が失敗。マルチバースの扉が開かれ、異なるスパイダーマン世界の悪役を呼び寄せてしまう。つまり先に解説した、別の俳優が主人公を演じた過去のスパイダーマン作品に出てきた悪役たちが現れるのだ。『スパイダーマン』に登場したグリーン・ゴブリン、『スパイダーマン2』のドック・オク、『アメイジング・スパイダーマン2』のエレクトロなどがピーターの前に立ちはだかる。

02年の『スパイダーマン』に登場したグリーン・ゴブリン(上)と、04年の『スパイダーマン2』に登場したドック・オク。グリーン・ゴブリン役のウィレム・デフォー、ドック・オク役のアルフレッド・モリーナも再登場する
別世界から呼び込んだ悪役を巡り、ドクター・ストレンジ(左)とスパイダーマンが対立する

悪役を主役としたシリーズも続々

ソニー・ピクチャーズは、『スパイダーマン』の悪役を主人公にした作品も製作している。地球外生命体に寄生されたジャーナリストを主人公にした『ヴェノム』(18年)が世界的に大ヒットしたことで、悪役シリーズの製作に注力。『ヴェノム』の2作目『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が2021年12月3日に公開された(記事「映画『ヴェノム』続編 スパイダーマンの悪役に強敵」参照)。

22年には吸血鬼に変貌する科学者を主人公にした『モービウス』が公開される。こちらはマーベルとの共同製作ではなく、ソニー・ピクチャーズの単独製作。単独製作なら利益を折半することもなく、映画がヒットし続ければソニー・ピクチャーズにとって旨味は大きい。

また同社では単独でスパイダーマンのアニメ映画も製作。『スパイダーマン:スパイダーバース』を18年に公開し(日本では19年公開、記事「映画『スパイダーマン:スパイダーバース』誰でも英雄」参照)、22年には続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース (パート1)』(原題)が公開予定だ。

(ライター 相良智弘)

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
 前作の悪役ミステリオによって、スパイダーマンだと明かされてしまったピーター。彼は自分がスパイダーマンだと知られていない世界に変えてほしいとドクター・ストレンジに頼むが、ストレンジの魔術が失敗。マルチバースの扉が開かれ、異なるスパイダーマン世界の悪役を呼び寄せてしまう。配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (c)2021 CTMG. (c)& TM 2021 MARVEL. All Rights Reserved.