シメのラーメン、雑炊、定食も魅力

「月見手ごねタレ焼きつくね」(写真上280円)と「とりとろ」(写真下、165円)

店内に事業責任者である事業会社のダイヤモンドダイニング(東京・港)の北島康次第一営業本部副本部長がいたので、いろいろ聞いてみた。

――よくここまで思い切りましたね。

「社内でもトレタさんともいろいろ議論したんですが、やるなら振り切ろうという思いです」

――ガラケーしかない人やクレジットカードを持たない人はお客さんにならないですよね。

「そこも割り切りです。店頭で興味をもってもらえても、説明するとあきらめる方もそこそこいます」

――操作方法に慣れない人も多いのでは?

「現状は、付きっ切りで操作方法を教えています。そこに手間がかかるようですが、スタッフが持つハンディで注文する仕組みだと、商品の特徴などスタッフへの教育に膨大な手間がかかる。ところがモバイルなら、使い方さえ教えればよい。スタッフは料理の提供だけに専念できるんです。これは大きいです。IT企業の多い大崎という立地からか、意外とお客様も対応してくれていますね」

「金華鯖の生ハム」(500円)

まだあくまで実験段階とのことだが、DXという話題から離れても、なかなか良い店だと思う。シメも「鶏白湯ラーメン」(650円)や「鶏出汁玉子ぞうすい」(600円)があるほか、定食風のメニューもある。「濃厚卵かけごはんと鶏出汁みそ汁(お漬け物付)」(600円)がそれだ。

この定食は、6種類の付け合わせから2品を選ぶことができる。ご飯は当日精米したコメを小さな釜で炊いたもの。たっぷり2杯分はあり、焼き鳥2本くらいとサイド1品を頼めば、酒抜きの夜定食にも持ってこいだ。ちなみにランチは、これをアレンジした御膳を1000円で提供している。

「濃厚卵かけごはんと鶏出汁みそ汁(お漬け物付き)」(600円)

DDは2000年代前半、奇抜なコンセプトと内装のカッコ良さで居酒屋業界に新しい風を吹き込み、上場まで果たした。松村厚久社長は一躍、時の人になった。ところが、東京・山手線駅近に大箱店舗を展開する勝ちパターンが、コロナによるテレワーク推進と営業時間短縮、酒類提供自粛で逆回転した。

その中、乾坤一擲(けんこんいってき)で繰り出してきたのが「IPPON」という訳だ。長年、DDを見てきた身とすると頑張って欲しいという気持ちが大きいのと、「IPPON」がかつてのDDらしくないシンプルな作りであることに驚いた。

ただ、一つだけ苦言を。お通しとかがないのはいいですが、単品価格が少し高くないですか?

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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