味やアルコール濃度までスマホで選べるレモンサワー

「お好み串焼き 5本盛合せ」(880円)

タレはやや甘めだが、甘すぎることはない万人受けする味付け。塩は天日干しの塩に貝化石カルシウムなどを配合し、60種以上の海のミネラル成分を含んだものだそう。それがどのようにおいしさにつながるのか、よく分からなかったが、過不足ない味だった。

サイドメニューも20種類ほどある。「トマトとおくらの土佐酢ゼリー」(450円)や「鶏出汁茶わん蒸し」(400円)は、だしのうま味がしっかり感じられる。鶏づくしでなく、魚系メニューもある。焼き鳥の焼き加減も上品で、店の落ち着いた内装を含めて、ちょっといい焼鳥屋に来ている感を醸し出している。

「鶏出汁茶わん蒸し」(400円)

そして、もう一つ面白いのは、ドリンクだ。ここでもDXをさく裂させている。

まずは、ダイナミックプライシングを実装していること。ダイナミックプライシングというと面倒臭いが、時間帯や曜日によって、価格を変更できる仕組みのこと。分かりやすいのが、ハッピーアワーだ。「IPPON」は、この仕組みをオーダーに取り入れている。バックヤードで設定を調整すれば客入りが少ない時間帯や曜日だけ「お得」にして、集客につなげることができるという理屈だ。

人気のレモンサワーもひと工夫している。レモンの種類を3つから選べるとともに、アクセントとしてハチミツ、ジンジャー、ソルトの3つのうち1つを無料で追加できる。少しオシャレな居酒屋でこうしたアレンジをするところもあるが、モバイルで実現しているのはそうはないだろう。

レモンサワーのモバイルオーダー画面。取材時はノンアルしか選べなかったが、平常時はアルコールの濃さが選べるという

そして画期的なのが、アルコールの濃さを選べることだ。取材した緊急事態宣言下の9月はノンアルコール固定になっていたが、注文画面で指を滑らせれば、濃いめからノンアルまで、自分好みにできるという設定。厨房で、どんな注文伝票が出てくるのかぜひ見てみたい。

とにかく、意欲的な店なのだ。

経営するのは居酒屋大手のDDホールディングス。コロナで業績が悪化する中での久しぶりの新店だ。「やるなら徹底的に」ということだろう。ちなみにシステムを開発したのは、飲食店向けの予約台帳システムで実績があるトレタ(東京・品川)という会社。同社が開発したモバイルオーダーシステムの導入第1弾がDDの「焼き鳥IPPON」ということだ。

ただ、紙メニューなしのモバイルオーダーのみ。ついて来れない客も少なからずいるはずだ。ファミリーレストランの「ガスト」もタブレット注文を全店に導入した当初は紙メニューを全廃したが、操作方法が分からない客が多かったためか、途中から紙メニューを復活させている。

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