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オンラインで対談する田川欣哉Takram代表(左)と緒方憲太郎VoicyCEO

オンラインで対談する田川欣哉Takram代表(左)と緒方憲太郎VoicyCEO

音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」を運営する緒方憲太郎氏がさまざまなメディアで活躍するクリエーターと音声の可能性を考えていく連続対談。今回のゲストは、メルカリ、イオン銀行、J-Waveなど、多くの企業のブランディング支援などを行ってきたデザイン・イノベーション・ファーム、Takram(タクラム)代表の田川欣哉氏だ。ハードウェアやソフトウェア、アートなど、幅広い分野で活躍するデザインエンジニアの田川氏はポッドキャストによる発信も手がけ、音のデザインにも大きな関心を寄せる。そこから見えてくる「音声の未来」は何か。

ポッドキャストは採用に効いている

田川 タクラムでは4年前から、「Takram Cast(タクラムキャスト)」というポッドキャストをやっています。2年前からは、緒方さんが運営されている音声プラットフォームのボイシーでも配信しています。マーケティングや宣伝なども全くせずにのんびりやっているんですが、リスナーは増えていて、年間再生数が70万回くらいになりました。

緒方 僕も以前、対談に呼んでいただきましたよね。ポッドキャストを始めたのはどういったきっかけですか。

田川 いろいろな企業の新規事業をやっているので、「音声って"キテル"よね」という感覚は随分前からあったんです。そんな時に社内で、アメリカの有名なベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツのウェブサイトについて「メインコンテンツがポッドキャストなのってかっこいいよね」という話になって。

当時の僕らは、直接の接点があるクライアント以外の人たちに、どうしたら自分たちの考え方を伝えられるか模索していたんです。それでまずはブログを頑張っていたんですが、なかなか書くのが大変で、継続するのが難しい。そんな時にポッドキャストをやってみたら、続けるのが楽なんですよ。

ブログやインスタ、ツイッターなど、情報発信のプラットフォームはいろいろありますが、どれも炎上と隣り合わせです。発言の意図とは違う方向で切り取られて拡散されてしまうことも多い。だからといってそこに過敏になると、まわりくどい言い方になってしまいますし、ユーザーの共感を呼ぶコミュニケーションになりにくい。

一方音声は、一部分だけを切り抜いたりするのは難しいですし、炎上しにくい。平和なんですよね。人間味が伝わる「スローメディア」です。僕たちタクラムの組織パーソナリティーにフィットしているようにも思います。

緒方 発信の手軽さは確かにあると思うんですが、企業として音声で発信することの具体的なメリットは感じられていますか?

田川 費用対効果で言うと、費用はほとんどかかっていない一方でリターンはすごく大きいです。例えば採用にはすごく効いています。

最近タクラムの求人に応募してくれる方の大半が、ポッドキャストを聞いてくださっているんです。ポッドキャストを聞いて会社の文化や雰囲気を理解したうえで来てくれる。おそらくポッドキャストを聞いて「合わないな」と判断して、応募をやめる人もいると思います。

採用では、もちろん待遇や条件などのマッチングも大切ではありますが、さらに、その会社の思想に共鳴するか、職場の雰囲気や企業文化にフィットするかが、企業側、採用される側、双方にとって重要です。音声が果たす役割は大きいと感じます。

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