
笑いあり涙ありのドキュメンタリー
最後に紹介する作品は、笑いあり涙ありのドキュメンタリー映画『チーム・ジンバブエのソムリエたち』。アフリカの貧しい国を襲った経済危機で生活が困窮し、生きるために隣国の南アフリカに命懸けで密入国した4人のジンバブエ人男性が、レストランなどで働くうちにワインに目覚め、意外な才能を発揮。チームを組んでフランスで開かれるブラインドテイスティングの世界大会に挑むというストーリーだ。荒唐無稽に聞こえるが、すべて実話だ。
エンターテインメントとして鑑賞するならば、5本の中ではこれが一番のおすすめ。主役4人の明るいキャラクターが笑いを誘う一方、本気で努力する彼らのために親身になって応援する周囲の温かい目に心が和む。大会本番中もカメラが4人に密着するので、ハラハラドキドキ感も味わえる。
同時に、不法移民って何だろう、国境って何だろうという今日的な問いを、見る人に投げ掛ける社会派作品でもある。
※12月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
(ライター 猪瀬聖)