日経ヘルス

2022/10/17

試してみよう!4つのタイプ別「疲れない歩き方」

山崎さんは現在62歳。いま特別に運動しているわけではないという。ただ、体形は変わらず、身のこなしが実に軽やか。SNSでは側転や三点倒立などの様子を公開し、話題だ。

その秘訣は「自分のタイプの軸を意識して動くから」と断言する。その基本は、まず立つことからだ。本来はそこを細かく指導するが、今回は概要だけ解説してもらおう。

4つのタイプごとに、正しい立ち方がある。

「その立ち方を意識すると、安定感が得られ、大きく呼吸できます。Aタイプ、Bタイプで、それぞれ、立つときの軸をつくるポイントが3つあり、そこを意識します」

Aタイプならみぞおち、ひざが軸ポイントになる。一方で、Bタイプならば、軸ポイントは、首の付け根、股関節になる。両方とも3つ目の軸ポイントは足底だ(タイプ別の下図参照)。

これを歩く動作に当てはめると、Aタイプは「ひざの上にみぞおちが乗るようなイメージで歩く」と軸が整いやすく、動かしやすいはずだ。

一方で、Bタイプであれば、「股関節の上に首の付け根が乗るイメージで踏み出す」と軽やかに体が動かせるという。

Aタイプ:ひざの上にみぞおちが乗る、伸び上がるイメージで歩く

重心位置は前寄りのAタイプ。軸のポイントが、ひざ、みぞおちになる。A1タイプは、ひざもみぞおちも前側、A2タイプはどちらも後ろ側になる。A1タイプはクロスタイプ、A2タイプはパラレルタイプ。(クロスとパラレルの解説は後述)

Bタイプ:股関節の上に首の付け根が乗る、地面を押すイメージで歩く

重心位置は後ろ寄りのBタイプ。軸のポイントが、股関節、首の付け根になる。B1タイプは股関節も首の付け根も後ろ側、B2タイプはどちらも前側になる。B1タイプがパラレル、B2タイプはクロスになる。

AタイプはBタイプの軸ポイントが動かしやすい

興味深いことに、Aタイプの軸になるポイントはBタイプにとっては動かしやすい、いわば可動エリアになる。逆も同様だ。つまり、Aタイプなら、Bタイプの軸ポイントである股関節や首の付け根は動かしやすい部位なのだ。

「野球のバッティングやゴルフのショットなど、その場に留まった動きの場合、足底と2つの軸ポイントを直線上にそろえることを意識します。そして、残りの2つの可動エリアを積極的に動かすと、安定感がありながらダイナミックなパフォーマンスをできます」

つまり、Aタイプなら、足底、ひざとみぞおちを直線上にそろえ、首の付け根や股関節を動かす。Bタイプなら、足底、股関節、首の付け根を直線上にそろえ、ひざやみぞおちを動かすというイメージだ。

また、Aタイプは、上に伸び上がるイメージで体を動かす傾向があり、伸びようとすると床を強く踏むという。Bタイプは逆で、床を押そうとすると伸び上がれるという。同じ動きでも、イメージは異なるそうだ。

なお、AタイプとBタイプでは、手の使い方も異なる。Aタイプでは、つり革や荷物を持つときに指先を使い、Bタイプでは手のひらを密着させるように深く入れ込む。思い当たる人もいるのでは?

「新体操では、クラブを持つ種目があります。私はAタイプなのでクラブを浅く持ちますが、そのように全選手に指導してしまった苦い経験があります。Bタイプの人は、深く持たないと落としてしまうことを不思議に思っていました。これもタイプごとの体の使い方の違いですね」

タイプ1と2の動かし方の違いは?

さて、AとBは、明快だ。しかし、1と2ではどう違うのか。

「例えばバランスをとろうとするとき、1タイプは、人さし指を意識し、2タイプは薬指を意識することで安定感が出ます。新体操では、ボールをキャッチするときにどちらの指を意識しているかは、このタイプによって違いがありました」

また、1タイプは内側重心で上腕や太ももが内旋したほうがパワーを感じやすく、2タイプは外旋したほうがパワーを感じやすいという特徴もある。ただ、今回のテーマ、「歩き方」では、クロスとパラレルのほうが影響が大きそうだ。

クロスとパラレル 腕の振り方の違いとは

ここで、もう一つの分類、クロスとパラレルを教わろう。

「A1とB2はクロスタイプ、A2とB1はパラレルタイプになります。クロスタイプは、体の前側に意識があるので、自然と前面を使って体を動かします。パラレルタイプは体の後ろ側に意識があり、背面を使って体を動かします。そこで、同じみぞおちや首の付け根、股関節といっても、前側や後ろ側など、軸を意識する部分が少し異なります」

速く歩こうとしたときに、A1とB2のクロスタイプは、腕を交互に交差させるように振るという。つまり、ひじが体の前側にくる。一方で、A2とB1のパラレルタイプは、腕を真っすぐに振ることができる。クロスタイプが真っすぐ腕を振ろうとすると、窮屈になり、うまく走れないことにもつながりかねない。

「ちなみに、マイケル・ジャクソンさんはパラレルのA2タイプだったと考えられています。スリラーのダンスでは、右手と右足が同時に動くパラレルタイプの特徴的な動きをしていますね」

疲れない歩き方のタイプ別のポイントを参考に、ぜひウオーキングしてみてほしい。

(イラスト 二階堂ちはる、写真 洞澤佐智子、構成 市川礼子=日経xwoman ARIA、白澤淳子=日経ヘルス)

筋トレより軸トレ! 運動のトリセツ

著者 : 山崎浩子
出版 :日経BP
価格 : 1,870 円(税込み)

山崎浩子さん
元 日本体操協会 新体操強化本部長、レッシュ(4スタンス理論)マスター級トレーナー。1960年、鹿児島県生まれ。1984年にロサンゼルス五輪に出場し、8位入賞。同年引退。2004年に新体操強化本部長に就任し、2015年以降、世界選手権で5大会連続メダルを獲得(団体競技)するなど、新体操日本代表を世界トップクラスに導いた。2021年に強化本部長は退任したが、現在も後進の育成に携わる。これまでの指導経験を交え、体の使い方を解説した最新刊は『筋トレより軸トレ! 運動のトリセツ』(日経BP)。書籍は、4スタンス理論の考案者、廣戸聡一さんが監修。YouTube/【ジクスタ】Hiroko's JIKU Studio

[日経ヘルス2022秋号掲載記事を転載]この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります