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入り口そばの新刊を集めた面陳列棚の最上段で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

入り口そばの新刊を集めた面陳列棚の最上段で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。来店客数はかなり戻ってきて、ビジネス書の売り上げも前年を超える勢いが続いている。そんな中、書店員が注目するのは、東京大学でスタートアップ支援を行っている著者が、優れた起業家の思考と行動のパターンを「解像度を上げる」という観点に着目してまとめたビジネス思考法の本だった。

著者は東大で起業家を支援

その本は馬田隆明『解像度を上げる』(英治出版)。著者の馬田氏は東大が運営するスタートアップ支援プログラム「FoundX」のディレクターを務める。その前身ともいえる本郷テックガレージの立ち上げから携わり、多くの起業家と接してきた。その中で優秀だと思える起業家はまさに「解像度の高い」人だったと振り返る。

解像度の高い人とは自分が取り組んでいる領域のことを聞くと、「明確かつ簡潔で分かりやすい答え」が返ってくる、そんな人だ。顧客像、市場、技術、ビジネスモデル……ビジネスで要求される多くの面で高い解像度を持ち、それぞれの情報が有機的につながっている。こうした人たちの解像度を上げる思考と行動のパターンを「起業家に限らないすべてのビジネスパーソンが使えるように」まとめたのが本書だ。

優れた起業家の解像度の高さは何によって構成されているか。著者の観察によれば「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点だ。4つが相互に影響し合って解像度は上がっていくが、優れた起業家になっていない、これから起業家をめざす人たちによく見られたのは「深さの不足」だという。このため本書は深さから書き起こし、広さ、構造、時間へと話を広げていく。

全8章、370ページとビジネススキルを扱う本としては読み応えのあるボリュームだ。それだけに解説は詳細を極める。まず解像度とは何かについて論じたあと、解像度の診断、解像度を上げるための基本姿勢へと進んでいく。解像度を上げる基本姿勢のポイントは「まず行動する」「粘り強く取り組む」「型を意識する」の3点だそうだ。

ではビジネスパーソンは何の解像度を上げればよいか。実際のビジネスでは顧客や社会の持つ「課題」を「解決」することによって価値が生まれる。それゆえ、〈まず解像度を上げるべきなのは顧客の「課題」とそれに応じた「解決策」〉だと著者はいう。ここまでが前半の1~3章になる。

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