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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。コロナ禍からウクライナ危機へ――メインの平台は時流に合わせた本を新旧取り混ぜて並べていて、それなりに反応が出ているという。来店客の回復はまだ道半ばといった感じだが、年度替わりの時期ということもあってか、ビジネス書や実用書の動きは少し戻ってきた様子だ。そんな中、書店員が注目するのは、みずほ銀行が2021年から22年にかけて11回にわたって引き起こした大規模なシステム障害の事後検証を目指したIT専門誌による本だった。

ファクト追いシステム安定稼働の教訓探る

その本は日経コンピュータ『ポストモーテム』(日経BP)。副題にはずばり「みずほ銀行システム障害事後検証報告」とある。ポストモーテムという言葉自体、米国のIT企業がシステム障害発生後に社内外の関係者と共有する事後検証報告書を指す。IT専門誌「日経コンピュータ」が取材を通してファクトからシステム障害の原因や背景を検証し、「システムを安定稼働させるための一般的な教訓」を導き出そうと試みたのが本書だ。

過去2度のシステム障害の折にも検証本を世に問い、2つの大規模障害をへて老朽化したシステムを全面刷新しMINORIという新システムの開発に成功した経緯も本にまとめた同誌は、「それが機能しなかった原因を考察して報じるのは責務」だとして本書を送り出した。

全体は7章構成。1、2章では2021年2月から22年2月までの11回の大規模システム障害を時系列で追う。1章では顧客への影響と社会・金融庁の受け止め方を軸に、2章ではみずほの行内で何が起きていたのかを軸に据え、丹念に追いかける。システム障害が連鎖的に広がり、対応策も後手後手に回り……といった経緯は、読んでいて身につまされる。描かれているのはみずほ銀行で起きた出来事だが、巨大なトラブル発生という側面で見れば、どのようなビジネスパーソンにも起こりうる。

第3章は特に顧客に大きな影響を与えた2回のシステム障害について、なぜ小さなトラブルが大きなトラブルにつながっていったのか、15の疑問点から解き明かす。ポストモーテムの核心部分だ。1回目のシステム障害で何が致命傷になったかを7つの要因から詳しく分析するなど、このシステム障害から得るべき教訓を浮かび上がらせていく。

金融関連書の書棚の端の柱前に面陳列で大量展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

金融関連書の書棚の端の柱前に面陳列で大量展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

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