
リモートワークの定着で経営者の装いが変わりつつあります。特に40代、50代の経営者は時代の空気に敏感。芯地を省いた柔らかいセットアップや、カジュアルなジャケットとパンツを愛用する人が増えてきました。業種によっては、スニーカーとTシャツ、スエットの上下といったリラックスしたスタイルも目立ちます。トップの装いの哲学を聞くインタビュー連載「リーダーが語る 仕事の装い」の記事から、バラエティー豊かな自分流の装いを楽しむ若手リーダーの記事を厳選しました。仕事服についての考え方と経営哲学が重なり合う、興味深い話が満載です。
接客業だって…「絶対スーツ」から個性の時代に
コロナ下でも、果敢にホテルや飲食店の新規開業をすすめるカトープレジャーグループ(東京・千代田)の最高経営責任者(CEO)、加藤友康さん(56)は、服装でも、お客様目線を意識すると話します。華美にならないスタイルを心がけ、時計1つにも相対する人が不快だと感じないよう細心の注意を払うことを、従業員教育でも徹底しているそうです。
沖縄の視察でビーチを訪れるときでもネクタイを締めたスーツスタイルが当たり前だったという加藤さんですが、3~4年前からは「絶対スーツ」という発想を転換しました。開発する案件が増え、デザイナーなどクリエーティブな職種の人材との交流が拡大したのが、その理由です。彼らに刺激を受け、個性を出す服装も大事だと考えるようになったのです。最近の加藤さんのスタイルはオールブラックのコーディネートが9割。セットアップに黒Tシャツ、靴も時計も黒、という装いで、控えめながらも素材の良さを大事にしているといいます。


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「トップの価値観」押しつけないメルカリ流 服装はフラットに
メルカリの上級執行役員、田面木(たものき)宏尚さん(40)さんは自他ともに認めるスニーカーおたく。仕事をするときの足元は当然、スニーカーです。レアなスニーカーを手に入れるために、メルカリだけでなく、競合他社のスニーカー取引サイトやさまざまなSNSをチェックして、情報収集をすると言います。メルカリ社内にはスニーカー好きが集ってネットでチャットをする「スニーカー部」があり、熱く盛り上がるのだとか。部員同士がお気に入りの1足を自慢し合うオフ会も開いています。
田面木さんが愛用するジャケットはユニクロの「感動ジャケット」。ふんわりと軽く楽なジャケットが好きで、インナーはTシャツ、ボトムは動きやすいジル・サンダーのパンツというのが定番スタイルです。服装ではダークカラーの無地を選ぶことが多く、「議論の妨げになるかもしれない」と、派手な目立つ色を着ることは避けるというのが田面木さんの流儀。そして、ファッションアイテムを購入したら、その分、着ないモノ、いらないモノをどんどん売りに出すことがモットーです。


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大人の格好良さ表現したい スーツの可能性は無限
AOKIホールディングス社長の青木彰宏さん(51)が「大ファン」と言うブランド、コムデギャルソン。AOKIのスーツと組み合わせて着て仕事をすることも多く、パンツやジャケットだけコムデギャルソンというスタイルも、社内ではおなじみです。1980年代のビンテージ服も好きで、古着店めぐりを楽しむという青木さんは、かなりのファッション通。東京・下北沢などの古着店に集まる若い世代がテーラードスーツなどを自由に着こなしているのを見て、スーツの可能性を感じると言います。
スーツのカジュアル化をアピールしてきた青木さんは、コロナ下では家でも、寝る時も着られるというコンセプトで「パジャマスーツ」を生み出しました。王道の正統派スーツとは別に、自由に着られるスーツのカテゴリーを広めるのが目標。青木さん自身もスーツを軸に「遊び」を取り入れる、さまざまな着方を楽しんでいます。


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