心理的安全性が高いチーム作りのポイント

私は起業前、約25年にわたりリクルートグループに在籍していました。振り返ると、リクルートは心理的安全性が高い組織風土だったと思います。

上司のことを「○○課長」「○○部長」とは呼ばず、社長でさえも「○○さん」と呼んでいました。これは心の距離を縮め、話しかけやすい効果を生んでいました。

会議では新人でも派遣スタッフでも、遠慮なく発言できる。突拍子もない意見であっても耳を傾けてもらえる。だからこそ思い切ってチャレンジができる風土が醸成され、強い組織となり、現在の規模までに成長を遂げたのだと思います。

私もリクルート在籍時代にマネジャーを務めていましたが、先輩から受け継がれたやり方をベースに、自分流にアレンジしたチームビルディング方法を実践していました。当時は「心理的安全性」という言葉は一般的ではありませんでしたが、その手法は心理的安全性を高める効果があったと思います。実際、私のグループは社内の全グループ中トップの業績を挙げ、MVG(Most Valuable Group)として表彰を受けたこともあります。

具体的な方法をご紹介しましょう。期の変わり目などで新しいグループが編成されると、まずメンバー一人ひとりと面談を行いました。今でいうところの「1on1」です。

1on1の場では、「私とあなたの間に『上下関係』はない。マネジャーとメンバーは役割が異なるだけで、人としては対等。私はあなたと『人対人』のお付き合いをしたい」と伝えました。そして、私自身の生い立ち、学生時代の経験、この会社を選んだ理由、仕事に対する思いなど、仕事のことからプライベートまで、オープンに話をしました。

次にメンバーがこれまでどんな人生を過ごしてきて、今どんな思いを持っているかを尋ねました。最初に私が自分をさらけ出したので、メンバーも「ここまで話していいのか」と安心し、自分自身のことを開示しやすくなります。

こうしてメンバー一人ひとりとお互いへの理解を深めた後、メンバー全員でお互いの生い立ちや価値観を共有する場を設けました。オフィスを離れ、ホテルや旅館の施設など、「非日常」の場所へ。皆、カジュアルな服装で、靴を脱いで畳の上に座り、リラックスした状態で行います。

メンバーが各自用意したのは「モチベーション曲線グラフ」。これは幼少期から現在までの出来事や経験、それぞれの時期のモチベーションの上がり・下がりの波を記したものなのです。それを共有しながら話をし、感想を語り合ったり質疑応答をしたりします。

このワークを通じて、メンバーがお互いの志向や価値観を共有。これにより、仕事においての連携がスムーズになりました。

メンバーが自分のパーソナリティーを理解してくれている安心感があれば、会議などでも誤解を恐れず発言ができます。言いたいことがある場面で遠慮なく言い合える。そんな関係ができたことで、心理的安全性が高まり、一人ひとりが主体的に考えて行動できるチームを築くことができました。

今、転職を検討しているあなたへ / 日経転職版

同世代の年収っていくらぐらい?

日経転職版でチェック

>> 年収チェックはこちらから

次のページ
マネジャーに求められるのは、心理的安全性をつくる力