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経営書の棚端の平台に2冊並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

経営書の棚端の平台に2冊並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向が続いているが、都心のビジネス街の人出は大きく戻ってはいない。そんな中、書店員が注目するのは、経済学のツールでさまざまなビジネス現象を分析した行動派の経済学者による教養書だった。

経済学のツールで現実のビジネスを分析

その本は伊藤元重『ビジネス・エコノミクス 第2版』(日本経済新聞出版)。伊藤氏は政府審議会の委員なども歴任する著名な経済学者。ビジネスの現場に深い関心を抱き、企業経営者との親交も幅広く、「ウォーキング・エコノミスト」を自認する。そんな現場感覚を生かして「ビジネスの世界での現象を経済学のツールを利用して解き明かす」狙いで書かれたのが本書だ。2004年に同様のコンセプトで書かれた本を「その後に出てきたビジネスと経済学の両方での新たな展開を取り込んで」抜本的に改訂した。

具体的なビジネスの事例から経済学の知の体系や概念が見えてくるのが大きな読みどころだ。例えば、牛丼チェーンの吉野家の事例から安売りは損か得かを考察する。「需要曲線」とか「価格弾力性」といった経済学の用語も、身近な事例なだけにすんなりと頭に入ってくる。ライオンの幼児専用歯ブラシ、グリーン車の料金、会費を取るコストコの二部料金制などの事例を縦横に使いながら、企業の価格戦略の裏を探り、非線形価格の利用が広がっている背景を分析する。

こんな価格をめぐる考察から始まって、小売業、問屋、電子商取引(EC)など流通をめぐる話、さらには気候変動問題と市場メカニズムの関係といった大きな枠組みの話まで、考察対象はかなり広範なビジネステーマに及んでいく。「なぜユニクロとニトリは流行るのか」「サントリーはなぜ、セサミンをネットで販売したのか」……節のタイトルを眺めるだけでも興味をそそられる様々なビジネス事例が並ぶ。

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