仕事に対する「真面目」な姿勢は、日本のものづくり現場においても重視されてきました。熟練した技能を養成するためには、年功職長の指示に従うことはもちろん、熟練者の振る舞いや技術、仕事に向き合う態度や、その精神さえ受け継ぎ、暗黙的な要素を積極的に吸収する姿勢が求められてきました。この時代において、主体性とは熟練者や上司の持っている技能や思考を積極的に受け入れることであったと言えます。その意味で仕事とは「修行」であり、上司は「師匠」であり、職場とは「道場」であったという側面もあったのでしょう。
(第2章 「真面目さ」を超えよう 45ページ)

「真面目さ」を超える

本書では、仕事における「遊び」を好意的に評価しています。それは、社員にいわゆる遊びを認めることで、課題解決を自らの手で自律的に行い、それを促す組織を構築しようというアプローチです。上司が指示する管理に忠実に従う部下よりも、社員に「遊ばせる」ほうがアイデアを引き出すことができるという数々の事例を紹介しています。その具体策を第2章で、4つのポイントにまとめています。

(1)「興味」より先に「アクション」を起こす
(2)学習によって自分なりの視点をつくる
(3)継続的にアウトプットの機会をつくる
(4)成果とアクションを連動させすぎない

「遊ぶ」社員は自ら問題点や課題を認識し、自発的に学び、そこに解決法を見いだす。こうした社員をどう育て、ポテンシャルを上司が引き出すか。全編に通じる筆者の問題意識があらわれています。

「遊び」と聞くと、仕事の成果に対する無責任な態度や、手抜き、さぼり、投げやりといった姿勢を想起してしまう方もいるかもしれません。しかし、「仕事における遊び」は、そのような仕事に対する怠慢や逸脱といったものとは反対の性質を持った活動です。高次の自律レベルにおける「遊び」とは、すなわち真剣勝負(Serious Play)です。仕事に対して、非常に高い集中力を発揮し、惜しむことなく自らの能力のすべてを発揮しようとする姿勢。あえて高いレベルの成果へ挑戦しようとするような、それでいてハラハラする緊張感を楽しむ姿勢。それが高次のレベルの自律を発揮しているときに見られる「遊び」のモードです。
(第2章 「真面目さ」を超えよう 37ページ)
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