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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。新型コロナウイルス禍前には及ばないが、人出の回復も手伝ってビジネス書の売り上げは前年超えで推移している。ウクライナ情勢や資源価格の高騰などを反映してか地政学関連の本などがよく売れているという。そんな中、書店員が注目するのは、予備校の世界史講師がゲームチェンジという観点から世界史を語り直し、現在の日本に生きる人々の立ち位置を示したビジネスパーソン向けの教養書だった。

著者は大手予備校の名物講師

その本は神野正史『ゲームチェンジの世界史』(日本経済新聞出版)。著者の神野氏は予備校大手、河合塾で人気の名物世界史講師。世界史専門のネット予備校「世界史ドットコム」も運営し、こちらも高い人気だという。「歴史エヴァンジェリスト」を称してテレビなどにもたびたび出演している。

その著者が人類史の中から「ゲームチェンジ」の局面を拾い上げ、「現在の我々が『ゲームチェンジ』の只中に置かれている歴史的立場を理解していくこと」をコンセプトとして書き上げたのが本書だ。

「従来の枠組・常識・ルールがまったく通用しなくなること」。著者はこれをゲームチェンジと呼ぶ。そのただ中を生きる者は他人と同じやり方で人並みの努力をしていては「他人(ひと)と同じように没落していく」という。では、どうすればよいか。そのためのヒントはやはり歴史の中に隠されているとして、16のゲームチェンジ局面を歴史の中から拾い上げ、それぞれに1章を充てて解説する。

冒頭で取り上げられるのは「農業」。続いて「鉄器」「一神教」と古代史のゲームチェンジを語っていく。8章を古代史に使った後は一気にルネサンスに飛び、「活版印刷と宗教改革」から始まる後半8章は近世以降、近現代、さらには未来を見据えたキーワードでゲームチェンジを見ていく。

技術史な側面ばかりでなく、宗教や精神史、制度史的な側面から起きたゲームチェンジも重要局面として拾い上げる。ゲームチェンジという事象はさまざまなところで起こりうるものであり、その広がりと影響力の大きさは技術、制度、宗教の別を問わない。だからこそゲームチェンジなのだ。

メインの通路沿いに設置した話題書の平台に2列並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

メインの通路沿いに設置した話題書の平台に2列並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

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