2021/12/9

ここで1つ、少し乱暴な物言いとなりますが、お伝えしておきたいことがあります。財力に見合った物欲のコントロールにもつながることです。それは、いま住んでいるご自宅の収納スペース(※クローゼットや押し入れ以外の場所も含めたモノを置ける広さ)は、図らずも現在のご家庭の財力をある程度、映しているということです。

別の言い方をすれば、収納が「足りない」わけではないのです。最初から財力に見合った量の物を買うようにするということができていない(そうした判断や行動が足りていない)のです。

不満をなんとかしたいときは、不満そのものではなく、発想や視点を変えると根本原因が見えてくることもあります。この例もその一つです。根本原因がみつかれば、その解決策を考えることで回り回って不満も解消できるようになります。この場合であれば、ご自宅の収納スペースを念頭に置いたうえで買い物する習慣を身につける、ということが一つの解となります。

「これ欲しい!」 ちょっと立ち止まる

そうした習慣を身に着けるために、何かを「欲しい」と思ったときは1回でいいです。まずは深呼吸するようにしましょう。そして、それが自分の収納や財力に見合っているかどうか考えるクセをつけましょう。

この場合、部屋の収納などを思い浮かべてみるとイメージしやすいと思います。想像を巡らせてみて、「置き場所がない」「部屋の雰囲気に合わない」などマイナスの要素がみつかった場合は、潔く購入を諦めましょう。

しかし、欲望というのはそう簡単ではないから困ったもの。「分不相応」という言葉があるように、何億円もする豪邸など「明らかに自分の財力に見合わない」ようなものは最初から本気で「欲しい!」とはならないのです。ご自身の財力にしろ、収納場所にしろ、いかにも手が届きそうなギリギリのラインにあるものだからこそ「欲しい」との思いが募っていきます。だからこそ必要なのが、一呼吸置くことです。そうすれば、冷静さを取り戻せます。

続けて必要なのが、それはただ欲しいのか、それとも本当に自分にとって必要なものなのか改めて考えるということです。詳しいステップは本欄で以前執筆した記事(「その買い物、本当に必要? 無駄遣いを防ぐ2ステップ」)をご覧ください。

何かを買う際は、金額に見合った効果が得られるのか否かを考えることも大切です。そのモノを購入することで、自分の暮らしがどう変化するかを想像してみると、判断しやすいと思います。

ここで効果アリと判断した場合は、それは買ってよいモノといえるはずです。反対に、金額に見合う効果ナシと少しでも思った際はいったん購入を我慢して、最低でも1週間は様子見しましょう。ご自身にとって本当に必要なものであるならば、1週間や1カ月経っても欲しいという気持ちは変わらないはずです。迷った場合は、時間を置きましょう。そうすれば、本当はどうなのか見定めやすくなります。

スマホ生かし手持ちのモノ把握

物欲が激しい人、あれもこれも欲しくなってしまうという人には共通点があるようです。それは、自分の持ち物を実は正確に把握できていないということです。だから、「すぐに新しい服を欲しくなってしまう」というお悩みがある方は手持ちの服を忘れて、つい似たような服を何着も買ってしまいがちです。

服や靴といったファッション用品に限りません。キッチン用品、文具などで「つい新しいモノを欲しくなってしまう」という分野はありませんか。思い当たる方は、その分野で自分は既にどんなものを持っているのか、具体的に把握しておくことをおすすめします。

今はスマートフォン(スマホ)で簡単に写真が撮れる時代です。そこで提案です。「すぐに新しいものが欲しくなってしまう」という分野がある方は、1度その分野の手持ちのものを全部、スマホ撮影してみませんか。そうすれば、ウインドーショッピングなどで欲しいモノがあったときに、出先でも簡単に既にあるものを確認できるからです。それが洋服であったなら、「似たような服が○着ある」と分かりますし、「これに合うボトムスがない」など具体的な着用場面を踏まえた判断もしやすくなります。スマホによる所持品確認は、「つい買ってしまう」といった衝動的な物欲を抑えるブレーキになるはずです。

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「これ欲しい!」。そう思うことや心が動くモノとの出合い自体は決して悪いことではありません。欲しかったものを手にしたときの高揚感というのは格別なものでしょう。

だからこそ、そうしたときに気持ちよく出費できるように、日ごろから節約できるところは賢く節約しておきたいところ。買い物で後悔しないように、自分の財力に見合っているか、また本当に必要なものなのか、きちんと見極められる力をつけられるといいですね。

矢野 きくの(やの・きくの
家事アドバイザー・節約アドバイザー。明治大学卒。女性専門のキャリアコンサルタントを経て現職に。家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。著書:「シンプルライフの節約リスト」(講談社)他 オフィシャルサイト https://yanokikuno.jp

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