「これ欲しい!」 物欲、身の丈に合うよう抑えるには無駄をなくそう 節約生活のススメ

2021/12/9
「物欲と財力の間」で時には葛藤を抱えることも(写真はイメージ=PIXTA)
「物欲と財力の間」で時には葛藤を抱えることも(写真はイメージ=PIXTA)

読みたいマンガを全巻一気にまとめて購入といった「大人買い」。この言葉が映すように、社会人になると子ども時代よりは自由に使えるお金が増えます。

もっとも、大人になったからといって、無限の「財力」を手にした訳ではありません。収入や家族構成などに応じて、現実に自由に使えるお金には限界があります。あくまで、欲しいものを買える可能性が幼い頃よりは高まった、ということにすぎません。

しかし、こうした当たり前のことは意識の外に追いやりがち。社会人といえど、自分の収入を軽く上回る高額なモノを欲しくなることもあれば、少しずつ貯蓄に回していこうと計画しながら「今月分は全て使い切ってしまった」となることも。特に問題なのが後者です。なんとかやりくりして一時的にはしのげたとしても、お金が少しもたまっていかないようでは長い目で見て好ましい状況とはいえないでしょう。

最近、「リベンジ消費」という言葉を耳にする機会が増えてきました。お住まいの地域によっては外食店の営業時間がようやく元に戻り、出社に余暇にと外出機会も増えてきたところ。新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」は心配ですが、「この冬らしいファッション商品が欲しい」など買い物魂がうずき出す頃です。そこで今回は、自分の財力に合わせて物欲を上手にコントロールするにはどうしたらよいか、その方法を考えてみたいと思います。

まずは家計の現状を数字で把握

物欲をコントロールしながら上手にお金を使ううえで、まず第一にやっておきたいことがあります。それは現実に即した家計の実態把握です。今、ご家庭にはどれだけの収入があって、どれだけ貯蓄をすべきで、どれだけのお金を消費などで使っていいのか、この3つをしっかりと具体的な数字で把握するということです。

「今年ももう終わる。来年こそはお金をためよう!」。まもなく新年とあって、そんな目標を立てている方もいらっしゃることでしょう。ただし、貯蓄というのはそれ自体が目的になってしまうとちょっと厄介です。なぜなら、目的達成に向けて「とにかくお金を使わないように」とばかりに食費を極限まで削ろうとしたり、休日に家から一歩も出ないようにしたりと味気ない日々を過ごすことになりかねないからです。

できるだけ豊かで充実した毎日を送るうえでは、バランスが大切なポイントになってきます。上記のような極端な「ためる第一主義」も問題ですが、コロナ禍が象徴するようにいつ何が起こるか分からない先行き不透明な時代。貯蓄がまったくナシでいいとはいえないでしょう。

いざというとき、一時的に家計が厳しい状況になっても乗り越えられる程度の額は準備しておきたいところ。さらに、これからマイホームを買いたいという方や、お子様の教育資金がかかる方は、そうした先々の目標や予定に向けて貯蓄をしていく必要があります。

そのためにも、まずは月いくらの手取り収入があるのか、給与明細などで改めて確認してみましょう。残業代で月によって違うなどであれば、多少の幅を持たせた数字でもOKです。○万~○万○千円など数字で把握できたら、そこから貯蓄にどのくらい回すのか、始めに決めましょう。そうすれば、残ったお金から、いくらまでを生活費や余暇など楽しみのための消費に使えるか、ある程度具体的な金額で把握できるようになるからです。

家計管理には様々な方法があります。今回はなかでも、比較的簡単に取り組みやすい方法をご紹介しています。

月収から貯蓄など将来のために回すお金を引いた残りがいくらになるのか分かったら、その金額と家賃や光熱費など生活に欠かせない必ず出て行くお金の合計とを比べてみてください。果たして自由に使えるお金は1カ月にどのくらいあるか、ざっくりと数字でつかめるはずです。これをその月の出費の上限ラインとして、日々お金を使う際にちょっと意識するようにしましょう。月々の出費の上限を大まかに分かっているだけでも、クレジットカードの請求を見てギクリといった、思わぬ出費オーバーにブレーキを掛けやすくなるはずです。

「足りない」は本当に足りていない?

次に考えるべきは「足りない」に関してです。日ごろの生活のなかで、何かに対して「足りない」と感じたことはありませんか? そしてそれは本当に「不足」しているのか、検証したことはありますか。

もう少し説明しましょう。筆者は講演などで各地を訪れた際、今の住まいに関する希望をお尋ねすることがあります。すると、「収納が足りない」「もっと収納スペースが広い家に引っ越したい」といった声が多く出てきます。同様に、お金に関する悩みを聞きますと、「収入が足りない」との悩みを持つ方が圧倒的に多くいらっしゃいます。

収納でも収入でも挙がる「足りない」の声。果たしてこれは本当に「足りない」という状況なのでしょうか。実は収納が足りていないのではなく、収納以上の物を買ってしまっていることが問題ではないでしょうか。お金の場合も、収入が足りないのではなく、適切な範囲を超える金額を使ってしまってはいないでしょうか。

「足りない」を満たすことで解決しようとすると、実はいつまでたっても足りない状況から抜け出せなくなってしまいます。「収納が足りない」という人は、仮に広い収納スペースがある家に引っ越したとしても、またしばらくすると「収納が足りない」と悩み始めます。「対症療法」で解決しようとすると、これを繰り返していくことになりかねません。

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