授業ではタブレット端末を活用し、ICT教育にも力を入れている

学力一辺倒かと思いきや、情操教育にも努めている。特別クラブ活動の「オーケストラ」もその1つ。併設する音大のプロ講師が指導にあたり、入学式や年2回の演奏会で日ごろの練習の成果を披露できるのも一貫校ならではのメリットだ。

1年生から6年生まで異学年の縦のつながりでランチ会をしたり、オリエンテーリングをする遠足に出かけたりする「たてわり活動」もリーダーシップを発揮したり、年下の子どもたちをケアしたりする心を育むための場になっている。受験期にはたてわり班の後輩たちが作った「お守り」を6年生に渡し、送り出す。中学受験に挑む6年生にとっては「自分は皆に支えられているのだ」と心の支えにもなっている。

デジタル教育にも注力

デジタル時代をにらみ、ICT(情報通信技術)教育にも力を入れる。数年前からタブレット端末「iPad」をいち早く授業に導入し、米アップルの教育機関向け認定プログラム「アップル・ディスティングイッシュド・スクール」の認定校になっている。新型コロナウイルスの感染拡大で学校が休校になった際も「オンラインで授業などを行い、学びを継続することができた」と吉田校長は胸を張る。2年生以上は毎日、iPadを持参し、授業でも活用している。昨年は「iPadの画面を大きく投影できるホワイトボードを各教室の壁に設け、学びの環境をより一層整えた」。

東急田園都市線の溝の口駅やJR南武線の武蔵溝ノ口駅から徒歩8分の洗足学園小は、東京都内からのアクセスもよく、児童の約半数が都内からの通学者という。20年度の6年生の進学先リストを見せてもらうと、男子は筑波大学付属駒場や開成、麻布、聖光学院、栄光学園、慶応普通部など、女子は桜蔭や女子学院、豊島岡女子学園など首都圏の難関・有名中学の名前がずらりと並んでいる。

中学受験の実績もあり、洗足学園小への志願者は近年、右肩上がりになっている。入学時に受験、入ったと思ったらまた6年後に中学受験が待っている。子どもたちにはきついのではと思えてくる。ただ、同小に子どもを託す保護者の中には「節目節目で頑張れる子であってほしい」という人も少なくいないといい、「保護者自身が中学受験経験者で、子どもにも同じ道を歩ませたいというケースも増えている」と吉田校長は語る。

吉田校長に理想の教師像について聞いてみた。「人を育てるのが教師の役割だが、子どもと一緒に成長できる存在でありたい」とした上で、自ら理想とする教師像のロールモデルは「自分をさらけ出し、情熱を持って子どもたちに向き合ってくれた中学時代の担任の英語の先生」という。校長に就任し、もう10年が過ぎたが、教師の初心を胸に可能な限り毎朝、玄関前に立ち、登校してくる児童を出迎えるのを日課にしている。

(堀威彦)

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